『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

オットケ・ソウル(hikari的初めてのソウル旅)7

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 イチョンの駅を2番出口から出て歩き始めると、乾いた快い風が頬をなでていきました。ホテルを出てすぐに地下へもぐってしまっていたので、「ああ。秋の風だ」と、今さらながらに感じます。

 そんなことを思いながら道なりに進んでいくと、左手に中央博物館が見えてきました。駅から歩いて最初に出会う門は車の出入りのためのものらしく、警備員さんに、そこからもう少し進んでから左折するように合図されます。

 そして立った博物館の前。青い空の下に広がる空間はとても気持ちよく、遠くにソウルタワーも見えてちょっと得した?気分です^^。

 「ゆっくり見たい場合は、平日午前中がオススメ」とネットで読んだので、それに合わせてやって来たんですが、そのせいか人かげはまばらだし、地下鉄のあの混乱の後では、券売所で無料券をいただくのも(今年いっぱいはいただけるそうです)、日本語の案内パンフレットをいただくのも、あまりにスムーズで拍子抜けしました(それに、スタッフの方の多くは日本語が使えますから、困ったときは日本語で聞いても何とかなります)。

 「とにかく巨大な博物館。全部を見ようとすると、いちばん見たいものに行き着く前に疲れてしまうか、時間切れということになりかねない」とのことだったので、とにかく青磁と白磁、そして弥勒菩薩に会ってから、残り時間でその後どこを見るかを決めようと、まずはパンフレットをチェック。すると、青磁も白磁も弥勒菩薩も3階にあることがわかり、エスカレーターで一気に3階にあがります。

 エスカレーターを下りて、最初はそこから近い青磁、白磁の展示室に。そこで見た青磁の色は、私がこれまで多くの商品として見てきていたものとは違っていました。青磁の青は、青ではなく、もっとスモーキーな、ブルーグレーともちょっと違う、うまく表現できない色です。そして、その光沢も、無駄にぎらぎらしていない、見方によっては地味な感じです。それを一言で言い表すとすれば、上質な落ち着きがある…という感じでしょうか。一輪の花が描かれた小品(花瓶かな)が気に入りました。

 それにしても、それぞれの作品についている紹介文が、「これは青画で描かれた花の絵柄の瓶」とかだけで、あまりにあっさりしていてちょっとびっくり。時代出所ゆかりに気をとられない分、作品そのものが好きかどうかで楽しめますけどね…。

 座るスペースがとにかくたくさんありますから、自分が気に入った作品を見つけてしばらく眺めていたいと思えば、その前に座って静かなときを過ごすことができるんです。ですから、私は立ったり座ったりしてゆっくりと青磁や白磁の中を漂っているのに、人と会うことが本当に少ないこと。

 ごくたまに誰かがいらしても、あまり興味がおありでないのか、それとも1階からここに来られるまでに疲れ果てていらっしゃるのか、あちらの方も日本の方も、ずいぶんあっさりと過ぎていかれます。残るのは、私のような「物好き」が一人か二人…。それも、それぞれ別の部屋…^^;。

 さて、正直に言います。好きな作品はありましたが、そして、美しいと思いましたが、自分が感じるかな~と期待していたわくわく感は、青磁には感じられませんでした。私が心から惹かれたのは、不必要なものをすべてそぎ落としたかのような、どちらかというと直線的な線の形の、まったく絵づけされていない白磁の瓶でした。それを見たとたん、私はこれを見にここに来たんだと思えました。一目ぼれです。

 いつのものだかわからない、照明のあかりに照らし出されたたった一つの瓶と、誰もいない空間に座り込んで、どれくらい向かい合っていたでしょう。かなり長い時間だったことは間違いありません。私はため息をひとつついて、椅子から立ち上がりました。幸せな時間でした。

 今度は弥勒菩薩。私はまたそこで、オットケ~な時間を過ごすことになったのです。