白磁の人

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 昨夜の仲秋の名月の満月(言い方おかしいですか?)、見られましたか? 何か一段ときれいに見えて、見とれました。「仲秋の名月」という言葉が残っているくらいですから、やはり特別なものとして見上げたんでしょうけど、古の人たちは、私たちが使っている明かりのほとんどを使っていなかったんですものね。その想いは、今を生きる私たちとはまた違ったものだったんだと思います。どんな想いで見上げてたんでしょうね。きれいだな~って? そりゃそうだ(爆)。

そんな昨日、もう一つ見た、きれいなものの話です。ここ数日のあれこれを片付けて、白磁展を見てきました。最近人間国宝になられた方の白磁展が近くであるというのを目にしていて、行きたいなとは思ってたんだけど、最終日までわずかになった今、やっと出かけてきたんです。

あまりに入場料が安いので(180円!)、たぶん、ちょこっとだろうなとは思っていたのですが、奥の展示室に、阿弥陀様などの仏像や、前田寛治などの洋画の数点と一緒に、ホントにちょこっとだけありました。10点に満たない数の展示でしたね(人間国宝になられた記念…ということだったろうと思うので、まっ、こんなもんか…と納得はしましたが)。おまけにです。結構長い間だったんだけど、たった一人でそれを眺めていたんです。

同じく開催されていた県展は大賑わいだったんだけれど、そちらは無料。180円払うのは嫌だったのかなぁ、みんな…。というより、小さくポスターなどの展示はありましたが、県展を見に来て、普通に前を見て歩いている分には、白磁展があることには気づかれなかっただろうなと思います。それを見るのが目的で来た私だって、受付で恐る恐る、「あの~。白磁展を見たいんですけど…。ありますよね?」と言ったくらいですから…。

それでも、その白磁の美しいこと…。数が制限されているだけに、それぞれを集中してみることができましたから、よけいにそれを思いました。白磁には、当然ながらよけいな色がありません。その分、切り取られた面や僅かな指目のあと、そして、つけられた線に光が当たることで、それもその角度で、全然違うものになる。あやしいまでに、違うものになる。変幻自在なんですね。光と影のコントラストが、ほんとに美しい…。魅入られるほどに美しい…。

結構大ぶりのものだったので、展示室の真ん中にある椅子に座って、眺めてもそれは十分に伝わりました。しばらくその美しさを眺めていて、そういえば、ソウルの中央博物館でも、こうして白磁を眺めたなと思いだしたりもして…。世界のあちこちの美術館には、美しい白磁や青磁がたくさんあるのでしょう。

ただ正直な話、私はわからないなりに古美術などを眺めるのは好きだけど、持ちたいとは思わないんですよね。持てるだけの財力がないのはもちろんですけど、おそらくそれを手に入れることに相当な額を積まれただろう方が、どうしても手に入れたい物だった、ということがあるからなんです。そんな方に大切に愛されたものが、売り物として出回っているということに、ちょっと怖さを感じるんです。何か、千円台の本やCDが中古で売られているのより、はるかに強い想いが残ってそうな気がしませんか? つまり、怖いからほしくないんですよね(変な動機…^^;)。

今を生きる作家さんが心血を注がれたものには、もちろんそんなものは感じません。だから、お金ができたら、一つほしいな~なんてことを思ったりします。ただ、こんなでっかいのを置く場所も財力もないので、期間中この作家さんの白磁でコーヒーをいただけるという喫茶室にいそいそと足を運びました。

お昼時だったのにコーヒーだけを頼む私に、ちょっと怪訝な顔をされましたけど、そのあとで予定があった私は、頑としてコーヒーだけを主張して、勝利を獲得しました!(…って、ランチはいかがですか?とあれこれ勧められて、「いや、コーヒーだけを」と言い続けただけなんだけど…ーー;)

実は私、白磁を眺めることはあっても、それで飲み物を飲むのは初めてだったんです。だから、もっと薄い感触だと思っていたものが、適度な厚みと暖かい感触があることに驚いて、ちょっと感激。で、「もう買うしかないでしょ~! 今じゃないけど…。コーヒーカップくらいなら、何とか買える! この作家さんのをそのうち絶対買う!」と決心したんです。

満足してコーヒーを飲みながら、ふっと思ったこと。それは、「あの子」の演技する姿って白磁みたい…ってことでした。よけいな色がなくて、それもその見る角度で、全然違うものになる。あやしいまでに、違うものになる。で、時に魅入られるほどに美しい…。思考がここに至るように習慣づいてしまってるんですかねぇ…。でも、これは、さすがに手に入れられないなぁ…(爆)。見に行きましょ、映画館に…。ええ、絶対に映画館に…。いや、うちのテレビの前でも…(と、気弱になる)。いや、この際どっちでもいいか。




(壺の写真は、冊子のから…。中で撮ったものではありません)