師走の美術館(改題&加筆)ー遠い昔ー

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 近くまで行ったので、安来の足立美術館にちょっと寄ってみました。借景の庭園を眺めたり、いろんな日本画を眺めたり、お茶をいただいたりと、短い間だったけど、いい時間を過ごしました。紅葉もまだまだよかったしね…^^。


〔追記…というか、こっちが本文かも…^^;〕
 
 足立美術館に行こうと思い立ったのは、街角でポスターを見たからでした。横山大観の作品の所蔵が多いことで知られるこの美術館ですが、その特別展が開かれているそうで、もみじ時期の庭園と、それを一気に見てみるのもいいか~と思ったんですね。

 アニメでも、音楽でも、こういう絵画でも…、そう、自然の風景でもそうですが、何の予見も期待もなく触れたことで、思わぬ感動がわき起こってくることがあります。今回の私が感じたのは、久しぶりのすこーんと抜ける開放感でした。

 しっかり青空の下、眺める遠い山の風景や、隙のないしつらえ…。そういうものの中を漂い、おいしいお茶をいただき、80代になってから描かれているというのに、ため息が出るくらいのみずみずしさとパワーを感じさせる絵を眺めていて、いつからかそういう感覚を取り戻していました。ソウルで、あの巨大な美術館を漂うようように歩いていたのとはまた違う、穏やかな時間でした。

 お抹茶とともにいただいた白いんげんのお菓子をおみやげに買って帰る帰り道、傍らを学校帰りの高校生の女の子達が過ぎていきます。その時、遠い昔に聞いた友達のことばをふっと思い出しました(私には、こういうことがほんと良くありますね~と自ら感心)。

 「あんたのは、たいしたことじゃないよ」

 それは、喫茶店でこんな風に女の子達が窓の外を通り過ぎていくのを眺めながらのことでした。私はその時、ある出版社に企画を持ち込み、断られてきたところで、かなり落ち込んでいたんですね。ある程度の関係があり、内容も買っていただいているとはいっても、その企画で採算がとれるものであるかどうかは別問題だってことなんですよね…。

 そんなときに、「あれ、どうなった?」と聞かれ、「実はね」と話したことを受けて、友達が発したのがその言葉でした。

 「あの子達、見て。好きな子の一人くらいいるでしょうよ。あの頃は、それが人生のすべて…みたいな気でいると思うよ。その相手が、笑ったとか、こういったとか…、相手がどう思ってくれるかじゃなく、ただただ好きでさ…。そんな彼が、だれかと付き合いだしたとか、お前なんか嫌いだとかいった日には、もうこの世の終わりよ。だって、人生のすべてがなくなっちゃうんだもの…。世界にたった一人がいなくなっちゃうんだもん…。あんたのは、どう。いくらあんたを一番買ってくれてたとこだっていったって、日本にいくつ出版社があると思う? その中のたったひとつじゃないの…」

 「人生のすべてか…」

 窓の向こうを眺めながら、私はつぶやきました。人生のすべてに伝えたい想い。私はこれから、それとどう向き合っていくんだろうと思いながら。

 家について玄関を入ろうとしたとき、まあるい月が空に浮かんでいました。うらうらと暖かく。