続編が出るたび読み続けるかも~神様の御用人~

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 いくつか前の記事で書いた、②~⑥を大人買いした本、『神様の御用人』についての記事です。

 ①~⑤までで100万冊を売り上げている(売り上げ100万冊と、⑥の帯に書かれているので、多分それまでの5冊で100万冊かと思う)というのに興味を持って①を買いこんだこの本。いや。なるほどね~です。

 この表紙に騙されそうになるけど(それが嫌いなわけじゃなく、すごくファンタジーっぽくて、軽い内容かと思わされる…というだけのことだけど)、ほんとに良くできた本です。いろんな意味で、過不足なく、しっかり書き込んである(過不足なくしっかりは変?)。いや、くすっと笑えるとこもあるんですよ。そこもまた魅力。その上で、「ほ~」と思わされる内容や、はっとさせられる言葉も出てくる。とにかく気持ちよさが染みる本です。

 野球一筋で実業団まで行ったものの、膝を壊したことで、それまでの自信のすべてを(さらに仕事までも)失って引きこもりになった主人公は、そこからやっと脱出して、清掃のアルバイトを始めた青年です。そんな彼が、突然神様の御用を聞く「御用人見習い」になる。それがこの物語の始まり。それからのそれぞれのシーンが、音や匂い、光や風の角度や強さまで感じさせる文章でつづられていくんですね。

  さて、ここでちょっと考えてみてください。本来、願うものではなく、感謝しに行くものとも言われますが、私たちは、神社に何かを「お願いしに」行きますよね。でも、それを何とかかなえてやろうとし、「人の子」を守ってくださる神様自身の願いは誰がかなえてくれるのでしょう。神様にだって、悩みもあれば、心の傷もあるし、後悔していることだってあるのに…。その役目をせよということで、主人公のもとに突然やってくるのが、↑の表紙の狐神(通称「黄金-こがね―」。京都の方位神です)。この黄金の導きで、主人公は様々な神様と出逢い、その願いをかなえ、神様たちや出会う人たちとのかかわりの中で自らも成長していくことになります(主人公と黄金、一柱と一人のやり取りは、漫才チックで笑えます)。

 このお話の根本にあるのは、私たち、「日ノ本」に住む「人の子」が、遠い昔のように真摯に神様と向かい合い、祈りにいくことが少なくなってしまったことで、絶大な力を持っていたはずの神様の力が小さくなり、神様自身も自分がどんな大望を持ってその社に収まったのかさえ忘れそうになっている…という設定です。それらの神様の、言ってみれば人間チックな姿がとてもいいんですよね。

 詳しくは語れないけど、オオクニヌシさんの登場の場面など、「なるほど~。そうなるか」という感じで爆笑。とにかく、それぞれの神様の性格やありようは、デフォルメはしてあるものの、それとなく見聞きしていた姿にそったもので、良く取材されているなぁと感じました。で、その姿のあれこれがまた笑えるのね(時には、めちゃくちゃすぎて、おいおいとさえ思う)。黄金の食の好みや狸っぷり(狐神なのに)なんか、なかなかのものです。

 そうそう。長すぎる神様の名前に閉口して私が途中で投げ出している古事記などの説明も、大雑把だけど出てくるので、神話の勉強もなるんです。さらに、その舞台となった場所に行ってみたいなぁとも思わせてくれるという、私にとっては、至れり尽くせりのお話です。

 それぞれのエピソードは中編で語られていますし、同じ章の中でもシーンの転換で区切りやすく、途中で本を閉じても大丈夫。時間がそうなくても少しずつでも読みやすいです。何よりいいのは、とてもやさしく気持ちの良い読後感。登場する神様、人物…、出来事…。それに心を寄せながら、気持ちよく本を閉じられるので、たとえば、寝る前に30分ほど読む…なんてのは、いい睡眠に貢献するんじゃないかな。

 いや~。いい本に出逢いました。