「月に行く船」を語る前のぼそぼそ話  ~本では殺人はできません。多分…~

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さて、ドラマ「時に行く船」のことをちょっと書いてみますとお話ししてから、あれこれあって時間がたってしまいました。で、更にちょっと寄り道…。
 
実は、忘れているところもあるかと、また録画を見ていたんですが、単にストーリーを見ていくだけでなく、男性の主人公である谷原章介さんの役を「あの子」がやったら…なんてことまで思って見ていたら、何故か谷原さんのほかのドラマでの演技を見てみたくなったんです。
 
かといって、私の手元には彼のドラマや映画のストックがあるわけでもない…。ネットでというのも考えたんですが、そこで探してまで見る気も…ーー;。で、ふと思い出したのが、6月までやっていたドラマの「スモーキング・ガン」です。途中から見るようになって、最後2回はその時間には見られず録画で見たので、消し忘れたままブルーレイレコーダーに残っていたんですね。
 
そこでの谷原さんは、科捜研にいた女性同僚(と言っていいのか?)が殺された現場にいた彼女の恋人を犯人と疑い、それまでの数時間の記憶のない彼を追い詰めようとする、笑顔のない刑事をやっていました。もつれた糸はすこしずつほぐれ、「何故彼女が死ななければならなかったのか」が分かっていくのですが、そこまではとことん厳しい表情だけ。そこには、「月に行く船」での、雑誌の編集長としては人の良すぎるげな主人公とは、別の人がいました。正反対とまでは言わないけど、「違う役を演じる谷原さん」の姿がありました。
 
 話は少しずれますが、そのドラマの主演の香取慎吾君。実は、私は彼を「一瞬の天才」だと思っているんです。正直いうと、彼のセリフには戸惑いにも近い引っ掛かりを感じるときがよくあります。それでも、たとえばその背中、その表情の中に、どんなにうまい俳優さんでもできない、というか、彼にしかできない「その人」が見える瞬間を感じることがあるからなんですね。演じる…のではなく。
 
それは、すごく前に見た、すべてを受け入れた「近藤勇」の背中だったり、浅野温子さんのドラマで見た、瞬間の「狂気の目」だったり、どんなものもまっすぐに見る「無垢の目」だったり…。どんなドラマでも、一回はドキッとする瞬間を見せてくれる。これは、こうやろうと思って理屈でやっているのではないと感じるので、「一瞬の天才」と言うわけなんですが…。
 
そして、そこはそれ、やっぱり私としては、「あの子」はどうだろう…と思うわけですよ。で、多分熟考型の彼には、あの眼はないな…と思うんです。印象に残る目はもちろんある。「その人」になってるからこその瞬間が…。ただ、タイプが違うんですよね。「瞬間でその人を見せる天才」と「その人になっていく秀才」…。ちょっと表現が変かな。まっ、とにかく、比較されるのは嫌だ~と思う人もいらっしゃるかもしれないけど、そんな風に感じるわけです。
 
そういえば、前に何かで読んで、「へぇ。そういうものなのか」と思い、面白いと思ってここにも書いたことがあるんだけど、香取君が「座頭市」をやっているとき、「(目が見えない世界を知りたくて)休憩も何も目を閉じて生活していたら、そこにいる人の中に、(自分に対してだったか、その芝居に対してだったかは忘れたけど)違う感情を持っている人が一人でもいると、それがわかるようになった」と話していたことがありました。
 
休憩だろうが何だろうが、ずっと目を閉じて生活される…なんてのは、周りからするとえらい迷惑だと思うんだけど、本人としてはとても感覚的な入り方だと思う。で、そういうことを感じたということは、ちょっとおかしな言い方だけど、自分と役の人が両立している感じ…。とても客観的に、周りが見えている…とも言えるかな。
 
いい悪いの問題ではなく、とことんその人としてひと時を生きてしまう「あの子」とは、違いますよね。その役から抜ける時のダメージは、たぶん「あの子」の方が相当大きいでしょうね。
 
そんなことも考えながら見ていて、さらに思ったんです。たとえば、踏みつけられても踏みつけられても人を許し続ける、「どうしたんだ、あいつは馬鹿か」…と思われるほど人のいい主人公や、谷原さんのやっていたような笑顔のない刑事や、狂気の人や変人や、さらにゲイなんかもあるか…(おいおい)。「あの子」は、それをどんな風にやるだろうって…。やれるよ、見たいよ~!って…。
 
そしたら、段々腹が立ってきたんです。国での事情もそれなりに理解しているつもりだし、今現在やってることもあるでしょう。でも、すごくわがままな理由なんだけど、「世の中には、こんなにたくさん演じられる役があるのに、何やってんのよ、馬鹿ヨンジュン! いろんな姿を見せんかい!」って…。
 
ええ、ええ。言っちゃいましたから、石でもなんでも投げてください。でも、そう思ったんです。その時の私の目の前に「あの子」がいたら、クッションだの、その辺にある本だのティシュケースだの、なんだかんだを投げつけそうな、すんごい目をしていたかもしれません。ええ、瞬間の殺意の目とでも言いますか…。
 
えっ? クッションや本じゃ死なない。考えて投げてるだろう…って? …うん……