蔵守の犬

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 前の記事を書いていて、ふと思い出したことがありました。夜中ですが、勢いで書いてしまいます。まっ、ストーリーをばらすとかではないので(笑)大丈夫でしょう。

 子供の頃に、フランスのワイン蔵の写真を良く眺めていたとさっき書きました。そのワインの蔵の写真を余り眺めなくなってからは、ワイン自体が気になるようになりました。ただ、それを詳しく知ろうとかそういうことでなく、ただそれを見かけると気になってしょうがなくなったというだけなんですけどね。それはずっと続くのかと思っていました。

そして、この前、アルバムの写真をSDカードに入れようと整理している(無事終了!)という記事を書いたときに、何げなく、かなり前にある賞を頂いたときに、フランスでの授賞式のために、フランスでワインの試飲をしながら街道を下っていくツアーに放り込まれた時の写真を使い、記事の中でもそのことに触れました。

 それらが、ふっと今つながったんです。何かそれに関連したお話の記事に、そのときのワイン蔵での出来事をどなたかのブログでコメントしたことがあったんですけど、そのとき、こんなことがあったんです。

 あるワイン蔵を訪れたとき、私たちの乗っていたバスが着くと、一匹のわんこがまっすぐ私をめがけて歩いてきたんです。急ぐでもなく、ほえるでもなく、なつくでもなく、ただただゆっくりと…。

 それからその子は、私の左側について離れなくなりました。私の足取りにあわせて歩いてくるんです。かといって、私に媚を売るわけでもない。ただよりそって着いてくるんです。

 その様子を見ていて、その蔵のオーナーさんが、「蔵は財産のすべてといっていいところだから、こうして番をする犬を飼っているんだ」と話してこられたんですね(ガイドさんの通訳でわかったことですが)。

あちらでは、自前の蔵がもてるのは大きな畑を持つ園主さんだけで、小規模のところは組合を作ってそこで醸造し保存すると、途中で聞いていました。このお宅は、自前の蔵をお持ちでしたから、その規模は大きく、蔵にあるワインを売って生計を立てていらっしゃるわけですから、確かにそこにあるワインは、財産のすべてといっていいものだったでしょうね。

 「じゃ、私が怪しから最初からずっとついてくるんですか?」とガイドさんに伝えてもらうと、「いいえ。この子は、家のものにしか着いてきません。嫌いな人にはそばにもよりません」と言われたそうで、ガイドさんは「きっとそれほど好かれたってことですね~」と笑顔で言葉を添えてくれたんです(はっきりその言葉も思い出しました)。

さっき思い出したのは、そのときのこと。そのとき思ったんです。脈絡もなく。「そりゃそうよ。私たちずっと一緒にいたもん」って…。自分で、「なに?」と思ったのですが、アニメの「フランダースの犬」をもちょっと小さくしたイメージの「彼」は、私を見上げるでもなく、ふさふさしたしっぽを左右に振ってパタンパタンと地面を叩いたんです。その余りのタイミングのよさに、ふっと微笑んだんですよね。

彼は、オーナさんに別れを告げ、バスに乗るまで着いてきました。愛想もなくただ着いてくる彼は、それまで一度も私を見上げたりしなかったのですが、その最後のときだけ上を向いたんです。そんな彼に「またね」と声をかけ、バスに乗り込んだ私は、それからワイン蔵のこともワインのことも気にならなくなっていたんです。

 だからって、それから何があったわけでもないんです。けど、ワインが昔のように気にならなくなっていることに、今頃気がつくなんてね…(おそっ!)。