『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

ん? 父さんどうした…?

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sonokoronoirorinofuukei?



昨夜、お風呂に入っていた時のこと。母や祖母が、私は子供の頃(まだ、普通には話すことができない頃)に、どこで聴いたのか(多分テレビでしょうけど)、童謡の『里の秋』の最初のところばかりくりかえし歌っていたと話していたのをふっと思いだしたんです。今でも、自分で勝手に作り上げているその風景が好きなので、つい、「し~ずかぁなぁし~ずかな~♪」と浴槽で歌い始めたんですね。

 「お~せど~にぃ木の実の~、お~ちる~よ~はぁ~♪ あ~あ、かあさんと~た~だふ~たぁり~………」

 そこで、これまで一度も思ったことのない疑問が―。

 ―父さんどうした?

 「ああ、母さんとただ二人」ですから、父さんはそこにはいなかったんですよね。もう寝てた? いや、父さんが(何ならついでに、祖父ちゃん、祖母ちゃんも)寝ついた夜中に、母と子が二人でこっそり栗の実煮てるっていうのは、なかなかにつらい家庭の事情がありそうです。まっ、こっそりそんなことをしても、匂いで気づかれてしまいますかね。とすれば、最初からか途中からなのか、シングルマザーで頑張っていたお母さんと子供さんだったのか?

 多分、その後の歌詞になんかヒントがあるだろうと、お風呂を上がった後ネットで調べてみたんですね。その歌詞は、こんな風でした。



   『里の秋』
              斎藤信夫作詞・海沼実作曲

      静かな静かな 里の秋
      お背戸に木の実の 落ちる夜は
      ああ 母さんとただ二人
      栗の実 煮てます いろりばた

      明るい明るい 星の空
      鳴き鳴き夜鴨(よがも)の 渡る夜は
      ああ 父さんのあの笑顔
      栗の実 食べては 思い出す

      さよならさよなら 椰子(やし)の島
      お舟にゆられて 帰られる
      ああ 父さんよ御無事(ごぶじ)でと
      今夜も 母さんと 祈ります




 驚きました。私が覚えていたのは一番だけだったので、とてものどかな里の秋の夜の風景だと思いこんでいたんです。ところがその後、特に3番にこんな歌詞が続いていたなんて。これ、南方の戦地から帰ってくるお父さんを待っている家族の歌だったんですね。知らなかった……。それで、母さんと二人だったんだ。で、祖父ちゃんは? 祖母ちゃんは? やっぱり寝てた?(しつこい…)。

 調べて見るとこの歌は、心身とも疲れ果て、傷ついて帰還して来られた兵隊さんたちを励ますために放送されていたラジオ番組のためにつくられた曲なんだそうです。もっと詳しい制作時の話も書いてあったけど、私にはそこまでで十分でした。やっぱりそうだ…です。

 童謡って、やさしくきれいなだけじゃなく、そういう社会情勢(?)について触れたのがあるんですねぇ。初めて知りました。帰って来られた人たちは、どんな想いでこの歌を聴かれたんでしょう。