用事で母と二人、叔母のところに一泊してきました。
おかげで私としては数少ない、11時には就寝→6時半まで爆睡というベストな時間での熟睡タイム(みずから拍手!)を過ごすことができたのですが、目覚めて、泊めてもらっていた和室の障子を開けて振り向いた瞳の中にびっくりするものが見えました。
何と、浅黄色の着物に黒の…たぶん絵羽織を着た、ちょこなんと座るひっ詰め髪の丸顔のお婆さんなんです。もちろん、そこにそんな人はいません。それがわかってから、ゆっくりとカメラの焦点が換わる感じでその顔が見えました。穏やかな顔をした、私が中学に入る頃に亡くなった祖母だったんです。ただ、私が知ってる祖母より、少し若い感じはしたんですけど…。
怖さはありませんでした。ただ、「……何で……(-o-;)」
それはごく短い出来事だったとは思うのですが、夢ではなく現でのことでした。寝ぼけてたんじゃないかと言われたら、違いますと言い切れるだけの自信はないんですけど、確かにその姿が見えたんです。
部屋を出て、すでに起き出してまたお話に花を咲かせていた叔母と母に、祖母が浅黄色の着物を持っていたかと聞いてみました。
あの姿は、以前のこの辺りで、年配の人が「ちょこっと晴れの席」にお呼ばれする格好みたいだなと思ったのですが、私は祖母がかなり年配になってからの孫で、物心のついてからの祖母はあまり気の張る席に出たがらなくなっていましたし、着物姿を見ることさえなかったので、祖母がそんな着物を持っていたのかどうかさえ知らなかったんです。
「浅黄の着物…。ああ…。持ってた、持ってた。いいときに着るやつね。あれ、お気に入りだったんだわ」
やっぱりです。それに絵羽織を着てたのも、間違いなかったみたい。残念ながらその着物は差し上げてしまったそうで、現物には会えなかったんですけど、二人は懐かしそうにその頃の話をひとしきりしていました。
しばらくしてはたと気がついたのか、「何で今ごろそんなことを聞くの?」と叔母。
私は二人に、事の次第を話しました。「何気持ちの悪いことを言ってるの?!」と言われるか、気味悪がられるかだろうと思ったのですが、二人の反応はまるで違ったんです。
「いいなぁ…。うらやましい。私は見たことないわ。一度だけでも逢いたいとずっと思ってきたのにねぇ…」
同じ「現にないもの」を見たとしても、その相手次第で受け止め方は違うんものなんですね…。
それにしても、祖母は何のために出てきたんでしょう???