それは、今朝のことじゃった。
寝足りん感じで目覚めたhikariは、流し台の前に立ちコーヒーを入れようとしておった。
IHの電源を入れ、ぼ~~~っとしておった時、「ドン」とも「コン」ともつかない、鈍くて低い音がした。たぶんそこから音がしただろうと思った窓の方を見たhikariの目の端に(というかガラスの下の方に)、何やら黒っぽいものが一瞬だけ見えた…ような気がした。
「何だろう」と、さっきよりはっきりしてきた頭で、hikariは考えた。そして、音のしたガラスの方を見つめた。
すろと、何ということじゃろう。その窓ガラスに、小さな灰色の羽毛がくっついておるではないか。
………
わかった! この窓ガラスに、(羽毛からして、小さめの?)鳥がぶつかったに違いない。とすれば、あの一瞬の黒い影は、墜落する鳥ではなかったか…。
hikariは、すぐに外に出た。ところがそこにあったのは、脳しんとうを起こした鳥でも、となった鳥でもなく、何日かの雨が降る前に砂糖水をぶっかけた時に落ちたらしい、モミジの葉が一枚だけじゃった…。
あれは、夢だったのだろうか。しばらくそこを眺めた後、ゆるゆると戻りながら、hikariは,ガラス窓を見上げた。
「いや。夢ではない!」。
その窓にはやはり、灰色の羽毛が、ピラピラと風になびいておったのじゃ。
鳥はどうしたのだろう。hikariは思った。どっかの庭で、ヒクヒクしておらねば良いが、と。