『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

美保神社奇譚(きだん)〈その1〉

ようやく、ずっと置いてきぼりにしていた美保神社のお話です。私の勝手な感じ方の話ですが、お付き合いいただけたらうれしいです。
 
美保神社は、出雲大社とセットでお参りすべし!(この二社にお参りしてこその出雲のご利益。一節には、ここにこないと半減する)と言われる神社なんだそうです。ただし、出雲大社から結構距離があり、おまけにこちらは交通機関の便もあまりよくないために、大ボス=オオクニヌシさんのいらっしゃる出雲大社にだけ参りするというのが普通になっていったのではないか…と思うと、この前お話ししました。
 
結局は30℃まで上がった晴天の元、たどり着いたそこは、「因幡の白兎」で有名な白兎神社と同じように、海沿いの神社でした。違うのは、一方の白兎神社は、「わに」(古事記にはこう書かれていますが、たぶんサメ)に丸裸にされて着いたという白兎海岸から続く丘の上に(私の感じでいうとですが)、「ちょっと上な感じ(?)」でいらっしゃるのに対して、この神社は、小さな漁港を「守るようにすぐそばに」いらっしゃるという感じがすることでしょうか。
 
 
イメージ 2
 
この美保神社には駐車場がありません。…というか、鳥居のすぐ前には、海産物などを売るお土産物屋さんがあって、その駐車場に車を止めさせてもらうことになるんです(誘導もこのお土産物屋さんの方がしてくださいます。ここが神社の神域なのかどうかは不明ですが)。それどころか、そこから出るとすぐの港沿いの道にはイカ焼きの屋台が出ていたり、お土産物屋さんでも、干物などを焼いてたりするので、車を降りるとすぐ、魚介類の焼ける魅力的な(!)においがしてきます。そういう意味でも、港とともにそこにある…。そんな感じです(この赤い車の手前が駐車場。写真だと少しあるように見えますが、鳥居までの距離は写真で見るほどはありません)。
 
駐車場には、県外ナンバーの車が数台止まっていました。関東から九州まで、全部県外車です。連れて行ってくれた友達の話では、3月はガラ~ンとしていたということですから、やはり5月10日に遷宮の終わった出雲大社にも行ってこられたか、これから行かれる方たちなのでしょう。
 
イメージ 1
 
なるほどね~っと思いながら、鳥居の前で頭を下げて鳥居をくぐります。とたんに、びっくりです。あくまでもいい意味で、ですが、胸を締め付けられるほどの、ものすごく強い気が前からどんと来るんです。こんなのは初めてでした。特に、後ろからとか、包まれるというか、取り囲まれるような感じがすることはあっても、前から感じる…という経験はなかったんですよね。それも、こんなに強く感じたことはありません…。
 
時々ここを覗いてくださっている方の中には、前に出雲大社のことを書いた記事を覚えてらっしゃる方があるでしょうか。なぜそう感じるのかわからないし、私だけの感じ方なんだけど、出雲大社の鳥居をくぐると、たいていは、大きなやさしい…それでいて強い気が、背中を押してくれる感じがするんです。つまり、出雲は後ろから大きな強いやさしい力が、ここでは、前からいきなりの強い勢いのある力が…。逆なんですよね。思わず、「両方に行ったら、前からも後ろからも押されて、身動きできなくなるじゃないの」…と思ったんですけど、もしかしたら、このことが両参りのご利益の謎を紐解く一つのポイントかも(ちよっと大げさか?…^^;)。
 
 
イメージ 3
その気配は、何段かの石段を登り、ちょっと怖い感じがしたあ・うんの古いお獅子を過ぎていって、今度は門をくぐり、きれいに掃き清められた参道を進んで拝殿でお参りをするあたりまで続きました。その代わりに感じ始めたのはすごく穏やかな気配。 
 
これもね、私の感覚では出雲大社とは逆なんです。大社の場合は、拝殿に近づくたびに凛とした空気が高まっていく感じがするんですよね。だから、柏手のあとで、ちょっと緊張してご挨拶することになるんですが、ここの感じは、「はいはい。何でも言いなさいね~」的な、構えないでいい感じがしたんです。
 
(上の写真は、降りるときに見える風景ですが、しめ縄に下がっている紙。これなんて言うんでしたっけ。これが面白いと思ったので、ここにこの写真を加えてみました)。
 
話はちょっと脱線しますが、元々柏手は4回打つのが正式な儀礼だったそうです。2回になったのは、江戸時代にはやった思想のためで、それまでは4回だった。つまり、ヨン(4)は、「死」を連想して忌み嫌われるような数字ではなくて、古来日本では神聖な数字だった…ということらしいですよ。
 
確かに出雲大社での柏手は4回です。解釈はいろいろあるようですが、一説には、神様の魂には、「奇魂(くしみたま:物事を観察して悟る力。時に奇跡といわれるようなものも関与)」、「幸魂(さきみたま:人を愛し、育てる力)」、「荒魂(あらみたま:荒々しいほどの勢いで前に進む力)」、「和魂(にぎみたま:穏やかに他者と和して動く力)」という4つの側面があって、この4つの魂に対してそれぞれ一つずつ柏手を打つと、神様がその音に感応してお願いを聞きに降りてきてくださる…ということのようです。
 
では、2回はどうなんだ…ということになりますが、幸魂と奇魂は和魂の中に含まれるとも言われるので、その場合は、「荒魂」と「和魂(「幸魂」と「奇魂」含む)」という形で2回の柏手でご挨拶する…ということなんでしょうね。
 
 
ちなみに、前にも話しましたが、大社で偶然出会ったバスガイドさんによると、「2拍手に慣れている方には4回はタイミングがとりにくいだろうが、し・あ・わ・せ…と心で言いながら柏手を打つとタイミングがとりやすい」ということだそうですよ。4つの魂にご挨拶。し・あ・わ・せ…。行かれた時のご参考までに^^
 
 
 
 
 
 
(その2に続く)