『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

野風の涙(少々ネタばれ&ちょっと加筆)

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 この前ちょこっと書きましたが、この秋、「JIN-仁-」というドラマにはまっていました。それゆえ、見ていた方だけにしかわからない話を、ちょこっとしたくなりました…^^;。

 原作はコミックと聞いた気がしますが、このドラマ、主人公の仁先生は、もちろろん最高にハートのいいヤツだったし、彼を慕うさきさんは、いつも一生懸命で、どこか年長者のように(?)仁先生を支え、励ましたりできる人だし、さきさんのお兄さんもまっすぐなあったかいヤツだった。同じく仁先生に想いを寄せる花魁野風の、プライドに満ちたりんとした姿や、ふとしたときに見せる女心。これまで見た中で、一番私の竜馬像に近いと思えた坂本竜馬や、緒方先生…etc。数え上げたらきりがないほど、みんな魅力的で素敵でした。

 どの人の想いもわかり、それぞれにいとおしく、どうするのがいちばんの道なのだろう…などいうことまで考えたりしながら、毎回見ていたんですね。私の周囲では、ご家族の出勤が早く「原則夜は9時寝」なんて友達からも、「『「JIN-仁-』見てる?」なんて声がかかるほどの人気ぶりだったんですよ。

 そのドラマも、この前の日曜が最終回。「次回」を思わせるラストが、良かったのか悪かったのか…。私としては、たとえ続編があったとしても、「これは、いかようにでも、おとりください」という形で一応のラストとしてくれた方が、ある意味ですっきりしたな~と思ったりしたのですが、チラシを配る野風さんの背景が、「明治」(?)だったことは、面白い!と思ったりもして…。これについての感想はかなり矛盾含みです…^^;。

 この最終回、最初に心が動いたのは、仁先生が手術を持ちかけたときに、野風が人前で見せた初めての涙でした。それを見てほっとした…というのは変でしょうか。みんなの前で常にりんとして見せていた野風の、素の想い。それが見えたようで…。あれは、人としての涙だったのか、それとも女としての涙だったのか。はたまた両方だったのか…。とにかく、それにほっとしたんですよね。

 さきさんも健気だった^^。ただ、私の記憶違いでなければ、さきさんは「神は乗り越えられる試練しか与えない」というようなことを仁先生に言いましたよね? あれ、あの時代、そういう風に「神」という存在について触れられただろうか…と思ったんです。でも、多分それがひとつのテーマ…というか、このドラマで「伝えたい想い」だったのでそしょう。

 想像を絶する、思いもかけないようなことに出逢うと、そこに立ちくすんでしまう人、それを面白いと思い楽しめる人、さらに、それをあたりまえに捉え、前に進める人がいます。現代での仁先生は、恋人の手術の「結果」によるショックを乗り越えられず、それからの手術をすべて拒否してしまう状態でした。

 その人が、タイムスリップしたことで、江戸という時代でどれだけの「手術」をすることになったか…。そして、それによってどういうことが起こっていったか…。すべての出来事は元から決まっているものではない。今をどう生きるかで決まっていくものなんだよ、というのも、もうひとつの「伝えたいこと」だったように思えます。

 ところで、お話の最後の方で、タイムスリップという出来事は、思わぬことに遭遇して、そこから動き出せないでいる自分を動きださせるための成り行きだったのではないか…というようなことを仁先生は思いますよね(確か…^^;)。

 、野風は、自分で動きだせないと言うより、動けない人でした。身請けということがなければ、一生廓の中で生きていくしかない人。いや。その身請けをされたとしても、屋敷を一歩出ることも許されない、そういう運命の人…。

 南方仁という人との出逢いによって、彼女は自分で立つ人生を歩くこととなります。彼女だけではなく、仁先生に出会った人だれもが変わっていく。そんなことごとも、ひとつの「手術」だったかもしれません。人生の手術…ですね^^。