『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

控室の風景

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あれこれやってはみたものの、やっぱり自分ではPCなどへの接続の異常は見つけられず、今日家に修理(?)に来ていただいて、機器の交換。再々回のPCの復活です。ただし、「そこだけに一時的に大きな電力の負荷がかかったとも考えがたいし、なぜそうなったのかはわからない」んだそうです。ということは、またありえる…かも…ということ?…ーー;

まっ、それはそれ、何とかできることです。物は何とかなる。母の手術の時以来、そんな風に思えています。

母の手術の日、私は病室や家族控室で10時間ほどの時間を過ごしました。リスク2パーセント程度の手術とは言われていても、「絶対」はないと思う想いがどこかにあって、適当に買ってきた実用本をあっさり読破し(時間からすると当たり前?)、窓の外を眺めたりしながら、落ち着かない時を過ごしていました。一時ひとりになってからは、やっぱり不安の方が大きくて…。

それだけに、ICUの看護師さんが「無事に手術が終わりましたよ」と教えてくださった時には、ほんとにほっとしました。一目顔を見てきてからだとなおさらです。そうなると、麻酔が醒めるのを待っていても、さっきまでとは違う…というか、周りが見えてくる…。話が聞こえてくる。面白いものです。もちろん、目の前のものが見えていないわけではないんだけれど、それより気になるものがあると、自然とスルーしてしまっているということなんでしょう。

一緒に時を過ごした方の一組は、患者さんの息子さんと娘さんのようでした。手術の結果によってはどうなるかわからないという手術中のお父様と、老衰で寝ていらっしゃるというお母様。明日どちらがどうお二人に関わるか…。万が一、ご両親ともが明日旅立たれることになったらどうするか…。そんなお話をしてらっしゃいました。

いや。それは大変だ。どうぞ、患者さんもご家族も、心安くお過ごしになれる結果になるように…と知らない方ながら祈る気持ちになりました(実は次の日、明るい表情のお二人とICUでお会いして会釈を交わさせていただいたんです。ですから、お父様の手術はうまくいき、お母様の様子も安定なさっていて、そこはどなたかに頼んでお二人でこられたのでしょう)。

そのお二人が出ていかれたあと、入ってこられたのは硬い表情の30歳前後の女性です。私はその方と入れ替わるように廊下に出ました。廊下の隅で、母の姉たちに電話をするためです。そのあと、中ではその方が電話をしてらっしゃったので、それが終わるまで待とうと、窓際で夕陽を見ていた時に聞こえてきた声は、とても冷静な声でした。

幼い息子さんの病状が悪化し、小児科ではもう無理とICUに移されたこと。そして、今夜は個人用の患者控室に詰め、もし安定するようなら、(国内でも数ないらしい、小児のその病気の手術を受けられる病院に)搬送されることになる。たぶん、今回かそれがあの子の最期の入院になるだろう。そういう話をとても淡々と話されていたんです。その声は、3件くらいかけられたらしい電話の間、変わりませんでした。自然に聞こえてきたその声に、強い人だな…って思いました。

電話が終わったようなので控室に戻ろうとしたとき、その中から声がしたんです。最初は押し殺した嗚咽でした。そして、たまらず大きくなった声。私はまた、窓際に向かいました。

生と死が背中合わせでいるところ。それが病院なんですよね。