『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

オットケ・ソウル(hikari的初めてのソウル旅)5

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 初めてのソウルの朝は、やっぱり(^^;)前日買ったパンとホテルのサービスのティバックの紅茶で始まりました。その日の予定は、この旅の目的のひとつ、国立中央博物館へ行くことです。

 二村(イチョン)の駅からごく近いところにあるようだったので、地下鉄で行くことに決めていました。私がいたソウル・プラザ・ホテルは市庁駅(地下鉄の1号線と2号線があります)のそば(というか、すぐ上というか)にありますから、二村は一番近いルートだと1番線で4つ目の駅、2号線だと市庁駅から4つ目の東大門運動場で乗り換え、8つ目の駅になります(当然使うのは1号線ですよね^^)。

 実は私、日本からソウルの地下鉄で使える「T-moneyカード」(とは言っても、もっていたのはストラップ型のやつ)を手に入れ、それを持ってきていました。日本で言えば、スイカとかイコカとかみたいな、センサーに当てれば一々切符を買わなくていい、あれです。
 
 乗り換えの地図もちゃんとチェック済みだし、ちょっと緊張しながら、『ここは通れないよマーク』の隣の、『通っていいよマーク』の点灯している自動改札を通過しようとしました。

 ところが! 「エラー」だと無機質な女性の声が。「うそっ!!」 当て方が悪いのかともう一回やってみましたが、やっぱり同じです。

 エラーの後で流れる言葉はよくわかりませんでしたが、もしかしてこれを買った時点でチャージしてくれてるはずのお金がチャージできていないのではないかと思った私、チャージ機でチャージして、もう一度べつのところでトライします。今度は「ピッ!」という音とともにチャージされている金額は出るのですが、ゲートはやはり開かないのです。

 そうなると、パニックです。頭真っ白というやつ。だれか駅の人をと探しましたが駅員さんらしき人はそばにいないし、大体何をどう説明していいのかわかりません。途方にくれていると、地下鉄の乗り方を教えている(指導員さん?)のおじさんが近づいてきてくれました。

 「どうしましたか?」と聞いてくれたのですが、そういうわけで言葉が出ません。「あっ。日本人だな」と思ったのでしょう。今度は「わかりませんか?」と日本語で。ただ、韓国ドラマ「初恋」のヒロイン(?)のヒョギョンのパパを少しやせさせ、もちょっと人をよくした感じこのおじさんは、日本語が余り達者ではないようで、日本語交じりの英語でいろいろ聞いてきます。

 私はおじさんの手を引いて、実力行使に及びました。「ほら~。こうやってるのに、エラーがでるんです~」とやって見せたんです。おじさん、「お~!」(なんかひらめいた感じの感嘆の声)。今度はおじさんが実力行使です。私を手招きしてチャージ機に連れて行きます。

 「だから、それさっきやったってば!」と言えたら言いたい私は、「アニヨ(いいえ)!」といい、さらに言葉を続けようとするんですが、もう「韓国語って何語~」と言いたいくらいの状態。アクションで、「もうチャージもしてみたんです~」とやって納得してもらいました。おじさん、また「お~」(今度は、「こりゃ、どうしたことだ」のお~)。

 おじさん、私の顔を見て突然にこり。何を言うのかと思えば、「どこへ行くのか」と英語で聞いてきます。「何でここで行き先聞くのよ~。私はここを通りたいだけなのよ~」と思いつつも答えようとした、「韓国語って何語~」の私。簡単な英語まで出ない。やけくそで「国立中央博物館に行きます」と日本語で言ってみたものの、おじさん?のポーズ。

 そこで思い出したのが、昨日ホテルのフロント前でもらった博物館のパンフレットです。あわててバッグから取り出して見せると、おじさん一言。「オ~。ミュージアム」。そうそう。それよ。

 おじさん、わんこにする待てのポーズで私を待たせると、傍らにおいてあるちいさな地下鉄の乗り換え案内のチラシを持ってきて、「ほら。ここが市庁駅。んで、1番線に乗って4つ目が二村駅だよ。イチョン。わかるかい? 言ってごらん」というようなことを言います(知ってるってば~)。「私は語学学校の生徒か!」と心で突っ込みながらも、「イチョン」と繰り返す私。おじさん、満足の笑み。

 微妙な間の後、「これはソウルで買ったのか」とおじさんは突然本題に戻って聞いてきました。「いえ。それは私がいつも京都あたりで使っているスルッとKANSAIってカードのとこでチャージしたのを売ってたので、それを買いました」なんてややこしいことは到底いえない私は、「アニヨ」と言うとややこしいことになりそうだし、「イエ~(はい)」と真っ赤なうそをつきました(おじさん、神様ごめんなさい…^^;)。おじさんまた、困った「お~」。

 おじさんは、通りがかりの学生風の男の子を捕まえました。「おじさん、それ、駅の人じゃないじゃない」と思ったのですが、その子もその子で、おじさんのいうことをふむふむと聞き、アクションを見ていると、「『ここは通れないよマーク』のとこを通ろうとしたんじゃないの? そうじゃなかったら通れるよ」と言っていたよう。

 「そんなわけはないのよ。『ここは通れないよマーク』を確認したんだから~」と思った私、ふと気がつきました。緊張しすぎていて、自分のゲートではなく反対のゲート、つまり、もう一個隣のゲートのマークを見ていたことに…。あちゃ~~ーー;。

 すべてわかったよという顔のおじさん、私を『通っていいよマーク』のど真ん中に連れて行きます。「こっちじゃないとね」と合図。「でも、そっちだってさっき、ピッとは言ったけど、開かなかったもん~」とおじさんを見る私のそばを、「わかった?」って感じでにっこりと抜けていくさっきの男の子。

 「あっ!! あ~~~~」

 ソウルの地下鉄を使ってらっしゃる方はご存知ですよね? あれ、行く手をさえぎるバーを押して中に入るんですね。私はあれが開かないとあせっていたけれど、そのまま押していけば入れたんです。

 私がそれに気がついたのと同じくらいのタイミングで、私の勘違いに気づいたらしきおじさん、「プッシュ!」。あっ…。通れた…ーー;。

 改札口の両側で爆笑した後、おじさん、にっこりと手を振ります。わかってるけど、私思わず、「イチョン?」。おじさん大きくうなずいて、「イチョン!」。

 おじさんのくれたチラシは、私の宝物になりました。