初春のお客様

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 それは元旦の夜のこと。深夜、パソコンに向かっていたら、カツンと、窓の辺りで音がしました。しばらくして、後ろの壁の辺りで、カツン…。今度は、元の窓の辺りで、再びカツン…。

 明らかに、軽い何かがぶつかったような音。思い当たるものがありました。でも、認めたくなかった…。音もそれで終わったのです。「聞きま違いだ。そうだそうだ」と、自分をナットクさせようとしました。2日の夜。再び、カツン。こっちでカツン…、これも、4~5回で終わります。そして、3日の夜も…。

 「雪だ。これは、屋根の雪が落ちたのよ~」と、思おうとしました。でも、あまりに無理があります。家の中で、雪が落ちるか。どこに住んでんだ、の世界です。「じゃ、ラップ音よ。そうだわ」。こうなると、救いようがありません。明らかに違うし、「そっちの方がいいのか」と、思わず自ら突っ込みを入れました。

 そしてついに、昨日。とうとう、それは正体を現したのです。

 昨日は、夕方からお客様がありました。手のかかるご老人を抱えた親類のおばさまです。忙しい三が日が明け、落ち着いた所で、話をしに見えたんです。

 老人と呼ばれてもおかしくない人が、かなりの高齢になった方の面倒を見られているのは、田舎ではこの頃よくあることです。そこには、その想いを理解してくれる方がそばにいないという現実もあって、それは、体験したことのある人でないと理解できないという事実もあります。幸いなことに、我が家はそういうおば様の気持ちを理解できる状態にあって、母は、そのおばさまの涙ながらのお話を聞いてあげていました。どうにも出来なくても、話すことで救われる。そういうこともありますからね。

 私は、しばらくお相手した後、自室に引き上げました。それからどれくらいたったでしょう。ココア片手に、日刊スポーツの特集本に見入る私の目の前に、ポトンとそれが落ちてきたんです! 
 
 「あ~~。あ~~~~~!!」

 低い野太い声(何故でしょうね。こういうときは、「きゃ~~」じゃないのは)が、家中に響き渡り、何を話しているかまではわからないけど、ひそひそと聞こえていた声が消え、し~んという声があるなら、それだ、という感じに静まりました。

 駆けつけるほどのことじゃないと感じたらしく、あちらはすぐに話し始めたようですが、私はそれとじっと向かい合っていました。カメムシです。生意気にも、私の部屋で越冬してやがった…、いえ、新春から美しくない言葉はまずいですね。越冬していたのです。越冬するカメムシじゃ、歌のタイトルにもなりゃしない…(涙)。

 日中、私は部屋の暖房を控えめにして、膝元の暖房器を使っています。だから、暖房全開になって、部屋全体が温まる夜、動いていたのでしょう。私が、その姿を見ていなかっただけで…。食事は、部屋の観葉植物のあたりからでもとっていたのでしょうか。

 見なかったことにしたかったけど、見てしまいました。いることを知ってしまいました。これは、捨ててはおけません。寝ているときに枕の下や、ベッドの中で過ごされたらたまったもんじゃありませんから…。あの匂い、消えないんです。

 ティッシュを持って追いかけ、なんとか捕まえました。そして慌てて部屋を出て、丸めたティッシュを勝手口から、軒下の、割と目につかなくて、邪魔にならない場所に、ぽんと放り出したんです。一刻も早く、手から離したくて…。まだ、軒下には雪がありました。

 あれから、一日近くがたとうとしています。誰も通らない軒下で、そのカタマリは雪の下になりつつあります。「彼」はその中から逃げ出したでしょうか。それとも、私は年頭から殺生しちゃったんでしょうか。まだ、見てないんです~。


 さすがに、カメムシの画像はいかがなものかと、季節外れだけど、今年は見たい風景にしました。去年は行けなかったので…。確か、常寂光寺(京都)だったと思います。