『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

朔日参り…ともいうらしい~その3~

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kidainotorodattakana


昨日の記事の続きです。

この神社には、お二柱の他に、いつから祀られたのかはわからないんだけど、五柱の神様がいらっしゃいます。オオクニヌシさんの息子さんで、恵比寿さんと呼ばれるコトシロヌシさんと、力自慢のタケミナカタノミコトさんのご兄弟(シタテルヒメさんとは異母兄弟ですね)、シタテルヒメさんとおなじお母さんからの兄アジスタカヒコノミコトさん(以降、アジスさんと略します)、薬や医療の神様であり、しばらくの間お父様の右腕であったスクナヒコナノミコトさん。そして、アマテラスさんに、国譲りさせるために出雲に行けと命じられて遣ってきたものの、絶世の美女であるシタテルヒメさんと恋に落ちて夫婦となり、オオクニヌシ側についてしまったアメノワカヒコノミコトさん(以降、ワカヒコさんと略す)。ワカヒコさん以外は、オオクニヌシさんのゆかりの人ばかりです。

 前に書いたことがあるんだけど、このワカヒコさん、アマテラスさん側を裏切った代償として、放たれた矢に胸を射抜かれて絶命してしまわれます。超イケメンで、才と力にあふれた神様でいらしたようなんですが、何とシタテルヒメさんのお兄様である、アジスさんそっくりだったそうで…。

 訃報を聞いて駆けつけてきていたワカヒコさんの御両親に、「生きていたのか」と泣きながら抱きつかれ、頭に来て暴れ回って帰るアジス兄、その後ろ姿に向かって、「この人(神)は、私の兄です~」という美しい「定型でない歌」を詠んだというシタテル妹。

 この、「定型でない歌」を初めて詠んだのがシタテルヒメさんで、その意味で和歌の祖とも言われ、お参りすると文章上達の御利益があるとされているらしいんですが、友であり、義理の弟でもあった人(神)を弔う席で、見間違えて抱きつかれただけで、キレて暴れ回って帰る兄に向かって、たたえるような美しい歌を詠んだというシタテルヒメさん。話として、どっか変!(もしかして彼女は、ブラザーコンプレックスだったのかしら)…というのは置いといて…(おいおい)。

 実はね、今回偶然拾った話なんだけど、この神社の主祭神のタケハヅチさんには、古事記や日本書紀には書かれていない別の名前があったそうなんです。その名は何と、「アメノワカヒコノミコト」。どっかで聞いた名前でしよ? …って、さっき聞いたばかりの名前でしょ? そうです。シタテルヒメさんのご主人の名前です。

 ほんとにそうだったら…って話だけど、(おなじ方の名前が二つあることにはなりますが)いつ建立されたかわからないほど古い神社である倭文神社に、この二柱が最初から並び立っているということに、ちょっと胸が熱くなる想いがしました。もしかしたらだけど、「人々の生活のために尽力してくださったシタテルヒメさんに報いたい。せめて、愛する亡夫と一緒にこっそりお祀りして差し上げよう」ということだったのではないかと思えたからです。
アマテラスさんを裏切ったワカヒコさんを、最初はそのままの名前で主祭神にすることがはばかられたんじゃないかしら。知らんけど…(二度目のおいおい)。

 このところ、どういうわけか唐突に、何度もシタテルヒメさんのことを思っていました。その中で、こんなことを知ったとなれば、感謝を伝えるだけに行くとしても、倭文神社に行くしかない。そう思ったんです。