『十八夜』
夢見るように 鈴虫のうたう
まだ あさい 宵のこと
遠い山の 写真集
雑誌みたいに めくってる
ただ ぼんやりと
頬杖でみた
窓の そとには
欠けだした 月
満ちていくより 欠ける速さは
思いがけずに 加速度ついて
心細さも はずみが ついて
なにも できずに 泣くに泣けない
おろかな月が
ここにも ぽかり