『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

伊勢神宮ヨン百物語(ふたつめの出会い)

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さて、この前の記事の続きです。

この佐瑠姫(さるめ)さま、別の名前もお持ちです。その名前は、「アメノウズメノミコト」。どこかで聞いた事がありませんか? 弟の乱暴に腹を立てたアマテラスさんが、天の岩戸の奥に隠れてしまい、世の中が真っ暗になってしまったとき、ひとりの巫女さんのような存在の方が、岩戸の前で踊りを踊り、アマテラスさんの気を引こうとした。その踊りは、そこに居合わせた神様達から大喝采を浴び、あまりの騒ぎに何事が起こったかと外をのぞこうとしたアマテラスさんの隙を見て岩戸が開けられ、世の中に光が戻った…という神話がありますよね。その時、着ているものがはだけ、胸もあらわになるくらいの、激しいダンスを踊ったとされているのが、このアメノウズメノミコト。ウズメさんなんです。

実は、この方の「肝の据わった伝説」がまだあるんです。猿田彦さんは、神の道案内をしたという話をこの前の記事でしました。ところが、この猿田彦さん。どうも口が重いし、うまくない。「私、こういうものです。みなさんの道案内をさせていただくためにお待ちしてました」とも言えず、道をふさぐようにしてただ黙って道の真ん中に突っ立ってたっていうんです。

天を突くほどの大男で、鼻がやたらに高い…というか異様に長い赤ら顔の男。一説には天狗のモデルともいわれる大男が、道をふさいでいる。恐れをなして立ちすくむ神々を押しのけ、それに同行していたウズメさんが猿田彦さんの前にすたすたと進み出て言いました。「あんた誰? そんなとこに突っ立って何してるの? 邪魔になるじゃないの!」

その時になって、ようやく自分がそこにいた理由を話す事ができた猿田彦さん。めでたくその役割を果たすわけですが、やがてこの二人が夫婦となり、ウズメさんは、佐瑠姫という名をもらうことになった…というお話なんですね。つまり、この猿田彦神社の境内には、猿田彦神社の社殿よりはるかに小さいものの、この佐瑠姫さんを祭る佐瑠姫神社があり、ご夫婦が祭られているというわけです。

この佐瑠姫神社、祭神がウズメさんだけに、芸能関係、芸術関係に関わる人にご利益があるとされているそうです。そして、家庭内別居のように見える配置ながら、今も仲良くそこに夫婦でいらっしゃることからか、縁結びの神としても有名だということです。

実は、来る前に見たその社殿、妙に気になってプリントしたものを机の前のボードにクリップしていたのです。ところが、ちゃんとご神前に立ってみると、私には猿田彦さんの神前ほど気持ちよくは感じませんでした。そのたたずまいには惹かれるものの、まるで押し込まれるようにある、狭い空間にいるにはふさわしくない人のように思えて…。あっ。だから、その身代わりに、来る人を導いてくださるのかも! いや。とても感じるものがあるという方があるらしいここです。私が鈍いだけかもしれません…^^;。

結局、時間が早かった分、どちらの神様にも一人きりでお参りをさせていただくことになりました。来させてくださったことのお礼を言い、さらに思うことをお話し、お守りを頂いて、これからのアドバイスを聞くために、この辺りで唯一おみくじを引けるここで引いてみようと思っていたのに、社務所は無人…ーー;。そこにちょうど来られた近所の方らしい方に聞いてみたら、社務所の方が来られるのは8時前なんですって。早すぎたんです。早起きは三文の徳らしいけど、早出は、徳ばかりではないようです。

まっ、内宮のすぐそばにある神社です。時間と元気があれば、内宮にお参りする前にもう一度、そこまでちゃんと回れたことをご報告がてらに来てみようと決め、私は鳥居の前で、「ありがとうございました。多分また来ます」と頭を下げ、そこを後にすることにしました。