『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

まったりしてない吉野の旅~その3~

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吉野山の桜の花の群生ポイントの一つ―中千本エリアに、「吉水神社」はあります。ここが私の行きたかった所なんです(↑のとは違います)。
 
吉水神社は、南北朝時代に都を追われた(逃げてきた?)後醍醐天皇が南朝をおいた所。その境内には、「一目千本」といわれる場所―下千本少しと、中千本から上千本あたりまでの「桜のある風景」が見渡せる場所―があるんですが、亡くなった父が見たいと言い続けていたのがこの場所の風景なんです。
 
駐車場からそう遠くないと思っていたんだけど、けっこう距離がありました。それも、この前の記事で書いたように、坂を上がるたびに坂道の角度が上がっていくので、結構元気が必要です。ただこの日は、「今日が全体を(桜の様子を)見るのには一番いいようだ」と聞かされ、さらに、「この時期は平日でもとんでもなく人出が多い」と聞いていたわりには、驚くほどでも、足を止めさせられて戸惑うほどでもなかったんですね。だから、「人出が多いのはいやだなぁ」と思って行かずにいる方にアドバイス。案外大丈夫かもよ
 
 さて、そんなこんなで訪れたこの神社は、思っていたのより小さい神社でした。南朝をおいたくらいだから、京都の天龍寺くらいの広さはあるんだろうと思っていたら、境内もだいぶ狭い感じがしました(天龍寺は、後醍醐天皇を追い詰めた…というか、途中で裏切った形で天下をとった足利尊氏が、後醍醐天皇の死後、天皇の御霊を敬ってお祀りするために建てた…ということになっていますが、天皇の霊が彼を怨んでもたらすかもしれない、天変地異や伝染病などの災難を恐れて建てた…とも言われています)。
 
 ここには、若い人たちが多くお参りされていましたね。神社での定番、お守りや御朱印をいただいたり、濡れ縁で休憩したり…。ゆっくりとそれそれの過ごし方をされていました。下千本が見渡せるあたりで桜を見ているときより、はるかに年配の方が少なかったのは、やはりここまでの距離と坂道のせいかもしれません。




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神社の門に近づくと、『勝手神社仮遷座所』の文字が見えました。内田康夫さんの「天河伝説殺人事件」でこの神社名の聞き覚えがある方もあるかもしれません。ずいぶん前に不審火で全焼したまま、再建のめどが立っていないとどこかで見た気がしましたが、ここに間借りされていたんですねぇ。少しだけ、ほんとに少しだけ、そこにあった募金箱にチャリンと寄付。早く再建されますように!
 
さて、「一目千本」ポイントは、その門を入ってすぐ右手です。「なるほど、こういうことか」と思いながらその風景を眺め、リュックから父の写真を引っ張り出して、「ほれっ」と見せてあげました。でもこれは、やっぱり生きてるうちに見とくものです





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 屋内にあるという南朝時代の遺物、見たかったんですけどね。時間的にこれを見るのは、この神社につき合わせてしまった友達とお店をのぞいたりする時間を考えると無理だなぁとあきらめました。せめて…と、後醍醐天皇がよく立っていたという、京都方面を臨む場所に立ってみました。で、ここでやるといいと言う、九字切りというのをちょっと小声でやってみた(そこに書いてあった)…ときたもんだ。近くに座っていた金髪青年ポカン…。「何やってんだ、あれ…」状態でした



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 後醍醐天皇はこの場所に立ちながら、亡くなるまで京に戻る日を思い続けたといわれています。伝えられる限りでだけど、配下の人に対する思いやりのなさや女性関係などからすると、あんまり好きなタイプの人ではないんだけど、強い想いを持ち続けた稀有な人だとは思えます。そういう意味ではすごい人です。私には、素敵な風景の中でこじんまりした暖かな空気を感じさせてくれたここでは、彼の野心を満足させることはできなかったのかもしれませんね。うん、無理だなぁ。ちょっと違う。野心家の人にとって、ここは優しすぎる。




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 この神社は、義経と静御前が最後の別れを惜しんだところでもあるそうです。そのためか、社務所には舞を舞う美しい人を描いた縁結びの素敵なお守りがありました。でも、な~んか、よくわからないんだけど、そういう感じより、強い心で現状に打ち勝っていこうとかいう「後醍醐天皇サイド」の力の方がここではふさわしい気がして、「それ系」のお守りと桜の絵馬をいただいて、ここを後にすることにしました。




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               触ると力を得られると伝わる、弁慶の力石



 そうそう。ここは、ペットを連れてのお参りもOKだし、お願いすればお祓いもしていただけるらしいですよ(なので、肉球デザインのお守りなどもありました)。それは、後醍醐天皇が愛犬家であり、ここに来られた時も愛犬のワンコ連れだった…ということからなんだそうですが、ここへ行く途中、そして帰り道でも、ワンコ連れの方たちに結構お会いしました。
 
 さて、あとはゆっくりお店をのぞいて、最後の桜を…という気でいたんだけど、それどころじゃありませんでした。知り合いに勧められた「ひょうたろう」の柿の葉寿司などを買ったりしてたら、時間はあっと言う間。名残に桜を眺める時間などありませんでした。3時間はきつかったですね~。

 やっぱりこの時期の吉野へのこういうバスツアーは、桜を見るためだけに行ったほうがいいんだなぁとつくづく思いました。日帰りですからね。でも、この時期です。帰りの車窓から見えた、万博記念公園などの桜もきれいでしたよ。
 


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 急いで買った、吉野の戦利品(?)です。言ってみれば、清水寺に向かう清水坂などに並ぶお店の、「のどか版的な感じのお店たち」で。知り合いおすすめの「ひょうたろう」の柿の葉寿司はここには入っていませんが、お店の方のお話し通り、翌日食べたらほんと美味しかった(翌日が一番おいしいそうです)。和菓子などもそうだけど、吉野のものは案外(というと失礼かな)クォリティが高いという気がしました(おいおい。上から目線か?)。

 吉野…。また改めて行ってみたいです。今度は桜目当てではなく。桜の時期でなければバスも上まで行くようだし、動くのにはむしろいいのかもしれません。奈良市内で一泊してあれこれ見てから…なら理想的かも