『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

それぞれの日本像

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 さらに、テレビの話のついでに…。NHKの地上波で、日曜の夜中というか、月曜の夜というか…な真夜中に、「つくもがみ貸します」っていうアニメをやっているのをご存知でしょうか。たまたま遅く帰って来たある日、お風呂にのんびり浸かってしばらく居眠りし、居間に戻ってテレビをつけたときに、ポンと飛び出してきたのがこれでした。

 この原作は、「しゃばけ」などでおなじみの畠中恵さんで、江戸時代の、今でいうレンタルショップが舞台。その店の主人姉弟(とはいうものの、血はつながっていないらしい)と、そこで貸し出される掛け軸やかんざし、キセルの根付などにとりついた神様(つくもがみ)たちが、その店に持ち込まれるあれこれの問題を解決していくお話…というところでしょうか。

 そのあたりを知らず途中から見たものだから、思わず首をかしげました。「これって、明治? 江戸?」。短髪の青年は出てくるわ、髪を長くたらした女の子は出てくるわ…。でも、参勤交代で地元に帰るような武士が出てくるし‥

 どうも江戸時代らしい…と決定づけた、そして、そのお話が畠中恵さんの原作だとスマホで検索したはいいけど、ど~も落ち着かないんです。うまく言えないんだけど、なんか違うの。お話自体は、江戸の人情話なんだけどね…。

 江戸時代を史実にそわない形で表すのを、私は決してきらいだというわけではないし、その時代にそんなことはなかったなんて、難癖をつけるつもりもない。というか、むしろ風景などはいかにも江戸~(ただ、やっぱり違和感)。だから、それが原因ではないと思いました。

 違和感の原因は何なんだろう。そんなことを思っているうちに、放送はまたいかにも江戸の…といった風景が流れるエンドロールに。その絵もね、やっぱり違和感があるんです。私はそういうのを見ると、大抵「ああ、きれい~」としみじみするんですけどね。簡単に言ってしまえば、いつものようには「感じない」んです。

 その時、「ああ。そうか」と思うもののとっかかりに出合いました。その時から、数回が過ぎた今は表記が漢字になっているようですが、私が最初に見た時には、画像制作にかかわっている方たちの名前のほとんどが、カタカナの名前だったんです。それも漢字にすれば3文字の名前。

 それが悪いとは思いません。それに、その方たちの中には日本生まれの日本育ちの方もいらっしゃるかもしれない。それでも、多分深い想いもなく「これが日本の風景」と思って描かれているだろう風景に、私が感じない理由。それは、やっぱり絵の好き嫌いとは違うものだと思えました(少しはそれもあるか)。

 で、思ったのはね、もしかしたら、情緒の違いではないかしら…ということ。持って生まれた情緒。これが美しい、これがいい…と思う感覚が元々違うのかもしれない。そういえば、秋の虫の声を、騒音としか感じられない国の方もあるっていいますよね。そういうのは、理屈じゃない。

 …ということは、日本が好きだとよく足を運んできてくださる方たちの、それぞれの「日本」があるのかもしれないですね。それぞれが「違う日本」を見ている。アニメだけでもそう感じるんだから、あれこれすり合わせて仲良くしましょってのはなかなか難しそうだわ。外交って大変。そんなことを思ううちに、アツアツだったカフェオレは、冷たくなっていました。