『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

天女伝説

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 あっつい日が続いています。私、元々はエアコンがあまり好きではなかったんですけど、いつからかエアコンなしでは過ごせない体質になってしまっている感じです。
 
 エアコンがなかった時代って、どんな風に暮らしてたんだっけって思って、ふと思い出した話なんだけど、鳥取の中部には「天女伝説」があるんですね。この伝説はいくつもの所にあるようだけど、だいたいこんなお話ではないかしら。
 
 ある時、地上に降り立った天女が、ある場所で水浴びをした。水浴びをしたのは、降りてくるのに埃っぽくなってしまったからなのか、暑くてしょうがなくて涼みたかったからなのか、お風呂代わりに水に浸かりたかったのか…。いやいや。あんまりきれいな水だったから、ただ浸かってみただけなのか…。どれだったんでしょうかね(だから、伝説だってば)。
 
 その世にも美しい(大抵そうなっている)天女が水浴びをしているところに行き合った某独身の地上の男。ひと目で天女に夢中になり、やはりこの世のものとも思えないくらい美しい羽衣を隠し、「お嫁になってくれたら、返してあげる」とか言うんでしたよね?

 自分で隠しといてそんなことを言うなんて、盗人猛々しいというやつですよね。それでも、羽衣がないと帰れない天女はその申し出を受け、二人の娘をもうけ、それなりに平穏に暮らす。男はそれで気がゆるんで羽衣の管理が甘くなってしまったのか、何かを探していて偶然見つけてしまったのかはわからないけど、天女はある日、男が隠していた羽衣を見つけ、それをまとって天上に帰ってしまう。

 残された子供たちは、笛を吹き太鼓を太鼓を打ち鳴らして母を恋しがった。…とまぁ、こちらのはこんな話だったかと思います(それで、その場所だとされる、「打吹山ーうつぶきやまー」…とはいうけれど、山と言うより丘といった感じの山があります)。たぶん、ほかでも同じような話ではないかと思うんだけど、天女は子供のことなんてどうでも良かったんでしょうかね。

 最近、天女が帰ってからの後日談があるのだと聞きました。お話は天女が天上に帰って終わりだと思ってたんだけど、天女はその後、泣きながら笛を吹き、太鼓を叩き続けて自分を恋しがる子供たちを見捨てられず、娘たちを迎えに来て、天上に連れて帰っていった…というんです。(もしかしたら、そこまでがひとセットで伝説になっている所もありますか?)。

 よく考えてみれば、人間との間に出来た子供たちは、天上には住みにくかったのかもしれないですね。天女は最初、それで連れて帰らなかったのかも。それでも、結局は連れ帰った。二人の子供は、「普通の天女」になれたのかなぁ。
 
 こういう伝説は、何かのたとえ話だとも言われますよね。「誰」と言いづらい人の話を伝えたいとき、こんな風なお話にして残した、と…。いくつもの所で同じようなお話があるということは、同じ人について、よほどの伝えたい想いがあったのか、こんな男の被害に遭わないように、大事なものは自分しかわからない所にちゃんとしまっておいてから水浴びしなさいと周知徹底したかったのか…(おいおい)。

 それにしても、どうしても水浴びをしたいという気持ちを抑えられないくらいきれいな水で、水浴びしてみたいなぁ~(そっちかい!)。




※画像は、その打吹山への道。