『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

やっとこさ【家族ノカタチ】をカタチにする その1

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今日はずっと話したいと思っていた、1~3月期のドラマ「家族ノカタチ」の話です。


このドラマ、(録画を残してあるところだけだけど)改めて見直していると、語りたいことがほんとにたくさん出てきます。でも、見てらっしゃらないみなさんにそれをどう伝えるか迷っているうちに、どんどん時間が過ぎていまいました。いろんな角度から思うことをいきなり話し出しても、何のことを言ってるんだかわからないと思うので、はじめに、ざっとあらすじを説明しますね。


 このドラマの主人公は、永里大介。大手文具メーカーに勤務する(主任かな?)、アラウンド40の『(独身)こじらせ男子』です。彼曰く、「結婚できないのではなく、しない生き方」を選び、のちに大介に、「彼女のクレームの困ったところは、まんざら的を外していないところだ」という言葉を吐かせることになる強力なクレーマー、(部内での通称)「クレーマー・ハナコ」に悩まされつつ、仕事仲間とも少し距離を置きながら仕事に励む毎日を送っています。


 そんな彼は、自分一人の城として独身者用マンションを35年ローンで購入。大好きなビールを取り揃え、それを楽しむためのロフトなど、好きなものを好きなように配置し、健康管理のために週6ジムに通い、休みの日にはサイクリングを楽しむ…という生活を続けていく…はずだったんですね。


 そこに転がり込んできたのが、母が亡くなって以来(もっと前からかも)疎遠になっていた父の陽三と、父が再婚した若い女性の連れ子である少年。この父の陽三さん、「東京に出ていった少年の母を探すためにやってきた」という表向きの理由以外に、実は大きな秘密を抱えているんですが、それがわかるのはずっとあとのことです。


 焼津で漁師をしていた陽三さんは、これまでの生活習慣をそのままそのマンションで続けようとするものですから、様々なトラブルを引き起こします。最初はボヤ騒ぎ。大介が自宅マンションの前まで帰ると、消防車が来ているじゃないですか。それも、来てたのは自分の部屋…。陽三さんが、サケの燻製を作ろうとして、火災警報器を鳴らしちゃったんです(実はこの出来事は、後あと「あ~。そうだったよね~」という想いへの伏線になっています)。


 その騒動は、新たな人物との出会いを生みます。それは、自分の部屋の真上に住む、熊谷葉菜子(くまがい・はなこ)という女性との出会いでした。何とその彼女こそ、大介の悩みの種、「クレーマー・ハナコ」だったんです。父親とわけのわからない義理の弟。そして、クレーマー・ハナコまで。誰にも侵されないひとりの生活を楽しむはずだった大介は、葉菜子の周囲を含め、深く関わりたくないと思っていた人たちと関わらざるを得なくなっていきます。


 ベランダで牛糞を使って野菜を作ろうとしたり、友達を呼んで酒盛りをして、大音量のカラオケなんかやってしまったり、バスタブにイカを泳がせたり、もう陽三さんのやりたい放題の生活。「自分の生活を壊すな」という大介と陽三さんは様々なバトルを繰り返すのですが、母親の行方がわからず、施設に預けられそうになった義理の弟を自ら引き取ることを決めたあたりから、大介は少しずつ変わっていきます。深く関わらずにきていた同僚とも、父を介して関係を深めていくことにもなるんです。


 葉菜子のもとにも、定年後の田舎暮らしにあこがれた父親とともに田舎に移住していたはずの母が、突然「田舎暮らしに疲れた」と言ってやってきます(実は、やってきたのには、また別の理由があるんですが)。大介同様、このマンションで「ひとりでこの世を去っていくことになるだろう自分に責任を持ったシングルライフ」をしようとしていたバツイチの葉菜子も、嫌いで別れたわけではない元旦那を含め、あれやこれやに引きずり込まれていくことになるんですね。


 立場は違うけれど、同じように仕事を懸命にこなし、一人の生き方を選んだ大介と葉菜子。だからこそ、何度もぶつかりながらも互いの気持ちを理解し、深い信頼関係を築いて行くようになります。やがて、葉菜子が(母に)隠し続けていた離婚理由を母に話すよう、大介がさりげなく後押ししたり、陽三が隠し続けていた「事実」に向かい合うことを恐れる大介をそっと葉菜子が支えたり…という変化が起きていきます。それは、二人がそれまで避けていた「家族」という形を考えるきっかけになるのです。


 こんな特に驚くこともない(?)普通のストーリーの何が、するめのような味わい深さを感じさせてくれたのか、これからそのいくつかを紐解いてみたいと思っています。