『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

姫の住処~賣沼(めぬま)神社~ その1

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 それは木々に囲まれた、小さなお社でした。無人で社務所もないような。ごく当たり前の道路際にある、たとえば、突然の困りごと…。学生さんなら、受験に行くその前に通りすがりにその参道に駆け込んで、「どうぞ合格できますように」と手を合わせていきたいような、そんな気安い気配がします。

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 例えば、出雲大社や日御碕神社、熊野大社(松江の)やこの前工事中だった佐太神社など、規模が大きく、氏子さんも参拝客も多く、大社の遷宮時に改修されたりして、手を入れられている神社じゃありません。ここを見ていらっしゃるのは、この地域の方たちなのでしょう。ほんとに、そこに住む人に寄り添った、素朴なお社です。木の材質のせいか、川が近いせいか…、そのあたりはよく分からないんだけど、社殿に使われている木にムシクイの後さえもある、古い小さなお社。それでもそこには立派な技の、龍神などの姿も見られます。

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 ただ一つ、「あっ」と思ったのは、そこがとても暖かな場所だと感じられたこと。確かにお天気は良かったのだけれど、そういうことではなく、そこにいるだけでふんわりと包まれているような気持になったんです。
 
 何故だかわからないんだけど、見上げているうちに涙がにじんできました。何にも考えていないのに…。こんなこと初めてで、一緒にいた友達に悟られないように、涙のにじむ目でその社殿の周りをまわりながら、拝殿と本殿のつながった社殿を撮っていきました。



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 彼女がどういうお姫様だったのかは帰ってから調べてわかったことだけど、あの美丈夫の八上姫はここで生まれ、ここで結ばれた人とひとときを過ごし、そして、今はここに鎮まってらっしゃるんですよね。こんな空気なら、彼女は「あのいきさつ」を後悔などせず、穏やかな最期を迎えたんだろうなと、勝手に理解したんです。