それは夜明け前のこと。
声枯れ以外はほとんど良くなったからと調子に乗らずに休息しようと、しっかり早く寝たせいで、半分寝てるような起きてるような、うつらうつらがやってきていました。
クルリと寝返りをうった時、何か小さな固いものが足の指先に触れたんです。
ちょっとだけ冴えた頭。そうっとそこを探ったら、ズルっと自ら動いたような感じがしました。
何かいる!
瞬間思いました。「カメムシだ!」と。
あんなのが布団の中にいたら、臭いだけじゃない。パジャマの中にでも入ってきたら!
思わず跳ね起きました。枯れた声とともに。
「グギャ~~!!!(本人はキャーと叫んだつもり)」
悪魔の断末魔のような大声が、まだ暗いご近所の静寂にも響きました、多分…。
ゼイゼイと荒い息をしながら、ベッドサイドの灯りをつけ、コンタクトをはずしている時にはかけるメガネを取り上げて、はね飛ばした布団の後を見たら…。
何かある。何か…はある。とっても小さな何か、が。あるんだけど…。生きちゃいない…かも。恐る恐る近づいてみると。
「これ……」
抜け落ちた爪でした。少し前にぶつけた左足の中指の爪。そう言えば新しい爪ができつつありました。その上にあった古い爪が剥がれ落ちてたんです。
そう。これの為に、枯れた喉をさらに痛めるような大声で叫んだんです、私…。
あ~。笑うがいいさ~(-.-;)