『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

思いがけない出逢い(シタテルヒメ~その2)

イメージ 1

さて、天上の貴公子ワカヒコさんとのロマンスは、古事記などにも扱われています。アマテラスさんの信頼厚く、前任者がオオクニヌシさんになびいてしまって帰ってこなくなったので、彼はその代わりにこの地上に使わされた…ということのようなのですね(オオクニヌシさん、それほど人をひきつけ魅了する力をお持ちだったのでしょうか)。

このワカヒコさんの方は、オオクニヌシさんではなく、最初に見た七夕のサイトに書かれていたように、その才色兼備な娘さんと恋に落ちてしまったと書かれています。そして、天から受けた使命を放棄して、それに背き、シタテルヒメと結ばれて8年の甘い生活を送ったのだそうです。

8年も待ちぼうけを食わされている天の方では、「あいつどうしてるんだ」という話になりますよね。「一回行って様子を聞いて来い」といわれて差し向けられた鳥が、彼に「どうなってるの~?」と聞くんですが、よく言えば、それに歯向かう覚悟をしていた、悪く言えば、「もう、ソレなし!」と思っていたワカヒコさん。取り巻きにそそのかされて、何度も何度も聞く鳥を、「ええい、うっとおしいわ!」とばかりに自分の矢で射てしまうんです。

彼のここまでの行動は、「女に魂を抜かれ、反旗を翻したアホ」だの、「いや、オオクニヌシが亡くなった後の座を狙っていた悪どいやつ」だの、散々な書かれ方をしているのですが、「あんたら、ワカヒコさんにちゃんと聞いたんかい!」といってやりたくなるのは私だけでしょうか(…かもね…ーー;)。

やがて、その矢は天に届きます。鳥が帰ってこないこともあり、「彼の行動が悪しきものなら、彼を射よ」と命じられたその矢は、ワカヒコさんの元に戻り、彼を射殺してしまうんですね(何て矢だ。持ち主をヤるなんて…)。

驚いたシタテルヒメ、大声で泣き叫びます。その声に天上の彼の親族達が降りてきて、天上式の葬儀のようなものをしてくれたのですが、その場に弔問に現れたシタテルヒメさんのお兄さん、何とワカヒコさんそっくりだったんです!

ワカヒコさんの親族はそれに驚き、ああ、生きていたのかと彼にすがりつきます。で、このお兄さんの行動がどうも私には理解できないのですが、「親友の葬儀(親友になっていたんですね)に来ただけだのに、死人と間違うなんて縁起でもない!」と怒り狂い、その葬儀の設えを蹴り飛ばしたっていうんです。

人間違い(神間違い)してしまうほど心を痛めていたんだな、と思うくらいの心のゆとりと優しさがなかったんでしょうか。いくらなんでも、やりすぎだと思うのですが、シタテルヒメは、それを怒るでもなく、そんな乱暴を働いた兄のために、「あの人は、ワカヒコさんではありません。アジスキタカヒコネというながったらしい名前の私の兄です~」ってな歌を詠みます(もちろんながったらしいとは書いてありません。あしからず…^^;)。もしかしたら、シタテルヒメ、ブラサーコンプレックスだったんでしょうか。

ワカヒコさんとシタテルヒメさんが甘い生活を送ったのが倭文神社のあたりだったとかで、その後のシタテルヒメはその倭文神社のあたりに住み、慈しみの光によって安産や地の豊穣に力を尽くして生涯を閉じることになります。

何故5月にこの神社のことを調べた時には、この変のお話に気がつかなかったんでしょう…。というより、こんなドラマティックな生涯を送った神様だったなんて記述には出会わなかったんですよね、その時には…。

話は少し変わりますが、月の神といって思い出すのは、何と言ってもこれも眉目秀麗男子ツキヨミさん。「ツキヨミノミコト」です。

参考記事はこちら↓
http://blogs.yahoo.co.jp/hikari2038/62003054.html

実は、このシタテルヒメも、月の女神と言われているようです。実際、あの小泉八雲も、島根県松江市での生活を書いた中に、「橋の上で女月神に祈る人の姿を見て感動した」というようなことを書いています。月に祈るのではなく、女の月神に祈る…と。

安産と豊穣を守り、慈しむ光を降り注いだシタテルヒメ。それを思うと、月の女神と言われるのは当たり前なのかもしれません。そう思うと、その正式名の「光」の一文字がちょっとうれしかったりしたんですよね(私のHNに注目^^)。そうそう。兄の名前を教えるために歌ったことから、彼女は和歌の女神とも言われるそうですよ。

彼女が祭られている倭文神社には、織物の神様のタケハツチノミコトが祭られていますが、オオクニヌシさんの子供達、そして、この人の名前もありました。アメノワカヒコ…。一緒に祭られているんですね(T.T)。

何だか、また倭文神社に行きたくなりました。そういえば、この神社の名前の「倭」は、伊勢神宮をそこに創ることに決めた「倭姫(ヤマトヒメ)さん」の一文字とおなじ字ですよね(この倭姫さんも、卑弥呼ではないかといわれる人でした)。

ところで、ワカヒコさんって、こんな神様↑だったんでしょうか。天の神様だけに…(爆)。