ちょうど植えようと思っていたものがあったらしい母に、「ちょっと手伝ってよ。1時間ほど…」と言われ、青空の下、運動の一環にとテクテク歩いていくことにしました。
この辺りでも相当少ない(農業の)本職さんには、この時期になるとそんなに暇な人はいません。作業には軽トラでビューンと行かれます。「あ~。あそこのお宅の庭の梅がきれい」だの、「あれは、山椿ね~」だの、「あらあら。竹が倒れてるじゃないの~。1月の雪でだわね」だの言いつつ、きょろきょろしながら歩いては立ち止まってを繰り返すのは私たちくらいです。まっ。植えるものを入れるのも、小さなリュックひとつで十分間に合っていますから、たいした労働ではないんですけどね。
お天気は良かったけれど、冷たい風が吹いていました。雲ひとつない空。木々が擦れ合う音。知らない鳴き声の鳥の気配。通りがかりの果樹園には、梨の花のつぼみが少しだけ白い花の色を見せ始めています(今年は少し遅いと、その果樹園の方がおっしゃってました)。
何も変わらない、いつもどおりの春の風景。でも、そんな風景も永遠ではないかもしれない。大切に見ておこう。そんな風に思うことだけが、違う春です。