『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

思いがけずに…2

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 映画が終わって立ち上がった私は、思わず、斜め後ろをそおっと振り向きました。そこにいらしたのは70歳前後の女性で、そちらも私を気にしていらっしゃる様子。多分「ご同類」だと思えました…^^。

 だから、声をかけました、「終わりましたね…」って。「ええ。終わりました」(双方、微笑む)。

 「4部作全部いらしたんですか?」(私)
 「ええ。4枚の前売りを買っていたんで…」

 なんとなく、並んでのんびりシアターを出て行くことになりました。

 その方一言、「私、聞いたんです。3Dはここでやらないんですか?って…。やらないんですって…。見たければ、広島ですね…って。広島は遠すぎるでしょ」

 どちらかといえば物静かな感じで、活発な方には見えませんでした。その方が、映画館の方に聞かれたのか…とちょっと驚きました。年齢で人を差別するわけではありませんが、この世代の方が、それもとっても慎ましやかでいいお母様って風情の方が、お一人でこういう映画に来られているのからして、ちょっと興味深い…。で、話されるまま話をお聞きしました。

 「東京ドームにも行って、DVDも見た。それでも見られない、いい表情が見られるというので、とても3Dを楽しみにしていたのに」と、その方はおっしゃいます。

 「私ね、そういうイベントのチケットって、どうやって手に入れるのかわからなかったの。東京のCD屋さんか、どこかに頼むのかしら…って。で、やっと、その方法がわかって、パソコンをやるようになったの。大阪のときは、外れてしまったのね。でも、東京ドームではちゃんと取れて…。うれしくてうれしくて、一生行かないだろうと思っていた東京に、それも東京ドームに飛ぶような気持ちで出かけたら、芥子粒だった…(ちょっと淋しそう)」

 はい。わかります…。

 「会いたくて、会いたくてね…。もうちょっと大きく見えたら…と思って…。でも、芥子粒だった…」

 聞いてるうちに、何だか、段々いじらしくなってきました…。

 「親しくなった方に聞いたら、大阪はもうひとつだったけど、東京ドームはとてもよかった。でも、さいたまはもっとよかったって…。あの時は、もうとっても(とってもに、かなり力が入る)感動したって、そうおっしゃるのね…。私が、まだチケットの取り方を知らなかったころなの。それが残念で、残念で…。あなた、さいたまは…」

 あっ…。はい。行きました。

 「よかった?」

 はい。とっても…。私も、これまでで一番だったか、と…。

 「ああ…」

 この、「ああ…」の複雑な、なんともいえない響き…。

 「韓国にも行きたいの。でも、さすがに外国まではね…。あなた、韓国は…」

 はぁ…。行きました。

 でも、「聖地めぐり」はしてないんです。見たかった弥勒さんや、『スキャンダル』で見た木を見てきただけなんです。あっ、だけど、『Tea loft』とか『ゴリラ』には思いがけずに行きましたけど…なんてこたぁ、申し訳なくて言えない雰囲気ありました。

 「私はこの辺りで、こうやって見られる映画を見て、イベントにいけるかしら~って思いながら過ごすしかないのよね…。もうそれで精一杯…」

 淋しそうな声でした。

 それから、「レイルウェイズ」の看板を見たいらしいその方に、「お元気でね」と送られ、私は会釈してエスカレータを下りていったんです。

 エスカレータの上で、思いました。考えてみれば、私はこの方が行きたがってらっしゃった、どれもに行ってるんだわって…。

 ごめんなさい。京セラの、周りの騒動と陸の孤島がトラウマになってるなんて、もう言いません。「アニメ冬のソナタ」のイベントで、隣の人のお陰でがっかりだったとかも言いません。どんなに遠くても、やっぱり芥子粒だ~なんてことも、もう言いませんから~(T.T)。