笑みのない花屋

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 昼下がり。出先でお昼時間をはずしてしまい、通りすがりの、はっきり言ってそうはやってない感じの中華屋さんに、まっ、しょうがないかって感じで入りました。私の後ろから、スーツ姿の男性も。

 入ってみると、そういう感じの店にありがちな…、どこかどんよりした空気はなくて、意外に居心地が良いんです。お水を持ってきてくれた店の女の子も、とってもいい笑顔で応対してくれて、心が和む感じ。たぶん、お料理はもうひとつだろう(ごめんなさいね、お店の方…^^;)。でも、彼女達に会えたことで、今日の午後は気持ちよく過ごせるなって思いました。

 そのうちに注文の物がテーブルに届き、箸をつけようとしたとき、私の後から入ってきた男性の所にも、注文のものが運ばれてきたんですね。ところが、店の女の子がその人に言葉を発する寸前、手帳を眺めていた男性が顔を上げて一言。

 「ああ…。ありがとう…」

 私と向かい合うような形で隣のテーブルにいた人の、その声のすっきりした明るさ。それから、その笑顔。ほら。誰かの発した一言で、一瞬で空気が凍った、とかいうでしょ? その真反対の空気が、一瞬にして辺りを包んだんです。この男性の性格もあるのかもしれないけど、店の女の子達のあれこれが、それを引き出したのかもしれません。味は予想通りだったけれど、これもやっぱり予想通り、気持ちよく店を出ることができました。

 そのあとで向かったのは、お花屋さん。彼岸の入りなので、墓参用の花を買って帰るつもりでした。その花屋さんは、いつも女性二人でやっています。少し年配の笑顔の女性と、無愛想な若い子。今日私がその店先に立ったときには、若い方の人だけが店の中にいました。

 店先にあった墓参用の菊のセットと、他の花を2~3種類手にして店の中に入ると、彼女はいつもの無愛想な顔のまま会釈をしてくれました。店のテーブルで、フラワーアレンジをしている最中のようです。それぞれ、白・ピンク・黄色がテーマカラーの3つの籠のうちの2つはもう出来上がっていて、最後の黄色の仕上げにかかっているところみたい。それを見て思わず声が出ました。

 「わ~。きれい! 素敵ね~」

 無愛想な彼女は、こんな技を持ってたんだ~って、ちょっと驚いたこともありましたが、そう声を上げたのは、中華屋さんでのあれこれが、私を気分よくさせてくれていたからだと思います。そのときの彼女の、引きつったような、恥ずかしげな笑顔の可愛かったこと…^^。

 笑顔は笑顔を…、そして、笑顔になれる出来事を連れてくるんですね。