『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

風の噂

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 この前、父が闘病中だと言う話をしました。おかげさまで、心配するようなこともなく、順調に治療しているんですけど、時々会うご近所の方たちの様子が、この頃少し変だったんです。

 ご挨拶すると、とてもいたわしそうな顔で、「大変ね~」。まっ。確かに本人だけではなく、家族もいろいろ活躍しましたけど、何かニュアンスが変なんです。でも、こちらはとりあえず入院のことだと思っていますから、「はぁ~。まぁ~」などとあいまいな返事をします。でも、何か不思議な感じでいたあるとき、「だめって言われても、がんばる人もあるんだから、気を落とさずに…」と、付け加えられる方があって…、えっ? 今何ておっしゃいました??? 

 「あの~。治療の関係で、病院に行ったり帰ったりしてますから、元気です~とはいえないですけど、本人は暇をもてあましてますし、病院の朝ごはんが待てなくて、おやつにお寿司買ってこい~とか言ってるんですよね…」

 今度は、相手の方が、「はっ?」とおっしゃる番です。ご近所の方たちは、本当のことをご存じなくて、声をかけてくださっていたんです。「ご主人(あるいはお父様)、お見かけしませんけど…」などと尋ねられたら、家族は、「ええ。ちょっと…」などと答えます。もう少し知っている方なら、「いかがですか?」と。で、こちらは答えるわけです。「ええ。だいぶいいんですよ」(だって、そうなんだもの…)。

 そうお話しても、その通りに思ってくださらない方もありますよね。確かに、大変な状態でも家族はそうはおっしゃらないでしょうし、そう言いたくないというお気持もあるでしょう。そういう場合もありますよね。それは、理解できます。でも、こちらのお気楽な言い方でわかるでしょうに…と思ったら、伏線があったんです。

 なんと、うちの親戚筋のある方が、深刻な状態だとあちこちで話してらしたそうで…。実はその方、一度もお見舞いに来てくださったことがありません。というか、もう薄い縁で、ほとんど親戚づきあいもないくらいなので、確かな病名も病状もご存じないはずなんです。少なくとも、うちからこうこうですと、お話したことは一度もありません。
 
 「お見舞いであれこれ気を使うのはいやだ。とにかく治療に集中したい」という本人の意向もあり、うちから少し離れた所にある病院に行っているので、よほど親しくない方以外は、うちの方にお見舞いを持ってきてくださっていました。ですから、父がうちにいない時に来てくださった方は、直接は本人に会っておられませんし、会っていただいた方も、それから悪くなったのかと思われたようです。何せ、親戚筋のその方が、まことしやかに話しておられたわけですから…。そして、それが一人歩きして、明日をも知れないという話になっていたそうで…(おいおい…ーー;)。

 その方が何もご存じないことを知ると、ご近所さんは、「えっ? あの方お見舞いにも行ってらっしゃらないの?」(アチラの方、絶句)。それにしても、何のためにそんなことをなさったのか…??? まっ、ほっときましょう。

 うちのは田舎ならではの話かもしれないですが、噂というのは、責任をとらないいい加減な所から起こり、真偽はともかく、自分の見聞きしたあれこれで尾ひれ背ひれがついて広がっていくものなんだな~と、つくづく思ったのでした。