『ボールがひとつ』
山の端の
小さな神社の 石段に
忘れられた ボールがひとつ
ほうき片手の おじさんは
そこだけ残して 掃除して
毎日お参り おばさんは
手に取り ながめて
また置いて
石段の 端っこ通る女の子
そこだけ 飛ばして進みます
忘れられたは 淋しいが
何故だか そこだけ暖かい
ミンミン蝉が鳴く中に
夏が忘れた ボールがひとつ