2006-08-07 水蜜桃 夏の野の… #その他文学 『水蜜桃』 あなたが何度も繰り返す 耳元でささやくように 僕の言葉を 忘れないでと 後ろ向きねと 私は笑う 後ずさりする人が いるからねと あなたも笑った いつからか さよならのたび ふたりは じゃれあうようになった 互いがいない時間を 埋めあうように 並んで歩き出せない 心が二つ 戸惑いも 心細さも 手ばなせぬまま 握った手 強く引いて 待てるかと その人は聞いた ねぇ ひぐらしが鳴いてる