はぐれホタル

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itadakimononofukei




 日が落ちてから、家から歩いて2分ほどのところにある自動販売機のあるところへ。急に冷たいお茶が飲みたくなったんです。

 車の通りだけで人けがない道をトコトコと行き、ガチャン。ひえひえのペットボトルを手に歩きだすと、何やらちいさな「光」が見えました。「何だ?」。

 最初は見間違いかと思ったんだけど、目を凝らすと確かに光ってる。ホタルです! このあたりでは、少し奥まったところに行かないと出会うことがないので、立ちどまってしばらくするまで気がつきませんでした。

 ホタルの群生は何度か見たことがあります。でも、たった一つの光が、それも住宅街にある小さな小川の近くをふ~っと飛んでいるのを見たのは初めてに近いと思います(今は思いだせないけど、もしかしたら遠い昔にあったかもしれない)。

 あたりを見回してもお仲間はいなかったみたいで、「もしかして、もう一匹いたりして」。そう。人(虫)目をしのんでのデート?」なんて思ったりしたんだけど(おいおい)、他にそういう光もなく、たった一人(一匹)だったようです。

 「どうしたの? はぐれたの? それとも一人で生きてくことにしたの?」

 光に向かって問いかけました。当然答えはありません(あったら、恐いか)。それでも、その光はしっかりと明るく光っています。

 「どっちでもいいけど、元気で天寿を全うするんだよ。じゃぁね」

 誰かに見られていたら、暗がりに向かってどうかしちゃった人に見られたかもしれないですね。それでもいいけど。

 
 たった一つの光に出会えたことが、ちょっとうれしい気持ちで(それでいて、ちょっとせつない感じもして)、家に戻った夜です。