『光と風の間(はざま)で』総本家

総本家なんで、あれこれあります

夏の野の…

おかえりなさい

『お帰りなさい』 ”おかえりなさい” 少し丸めた 背中を抱いて そっと ささやこう ”おかえりなさい” 少し 背伸びは必要だけど 何ができるだろうって ずっと 考えてた 私ができるのは たった これくらいのこと あなたが ひとりじゃないって 教えてあげることだ…

ありがとね

『ありがとね』 いつからか あなたに 話しかける くせが ついている 毎日の とりとめのない 出来事や 大切なことの 選択を そのたびに 答え あるわけじゃ ないけど どうしてかしらね 心 やすらいでいくよ ねぇ わかってる? それだけじゃなく あなたが あち…

夏の終わりに

『夏の終わりに』 心が音を立てる日は 何を思ってすごしましょう カタン カタン カタカタン まるで ジグソーのピースがはまるようと つぶやいた人の 言葉も そのへん どっかに おっぽって カタン カタン カタカタン 別に何があったわけでも 何にわずらうわけ…

春雷

『春雷』 ”だいじょうぶ… だいじょうぶ… だいじょうぶ…” その背を抱いて 何度でもくりかえそう あなたが もういいよって言うまで ”だいじょうぶ… だいじょうぶ… だいじょうぶ…” あなたが そうしてくれたように

夕月夜(ゆうづくよ)

『夕月夜』 おぼろ月 桜の雨が 降るなかで 体じゅうの 力をこめて あなたを 抱きしめた 何十回の ”愛してる”より たった一度の ”ありがとう”が うれしい 夜もある

浅き春

『浅き春』 車のライト行きかう 帰り道 薄ぐれの青空に ジェット機のあかりが過ぎていきます 立ち止まり 見上げれば 天空には七日月 まっすぐに 七日月 夜に手を引かれた青空が どんどん色を変えていくのが ねぇ あなたから見えますか? あなたが見られない…

青い夢

『青い夢』 満月近い 青い光の中で ”僕は待った”とそのひとは言った ”僕は待ったよ 十分に待った 今度は 君が 歩みだす番” ゆり椅子を動かす そのひとは続けた 不意に 振り向く横顔 時を違えた春の風が 頬をすり抜け 強い目に 触れた気がした 青い光の中でー

七つの星の輝く下で

『七つの星の輝く下で』 あなたに出逢った 幸運 あなたを知っていく しあわせ あなたに触れる よろこび たとえ 激しく木々を揺らす 風の中でもー

水無月の雨にかくれて

『水無月の雨にかくれて』 あなたが苛立ってたのは 感じてた 冗談ごかして 回りくどい嫌味を 言い始めてたのも… その理由が わかっていても 受け止められるほど 元気じゃなくて 半分わかって わからないふりしてた 言っとくけど それってけっこう 技術がいる…

ひたひた雨の降る日には…

『ひたひた雨の降る日には…』 ひたひた雨の 降る日には 桜の涙 はらはらり 薄紅じゅうたん 敷くのです 地の底に あなたの嘆きが 届かぬように あなたの笑みが わくように 桜の涙 はらはらり 黙って抱いて はらはらり

夜明けの前

『夜明けの前』 君は 君以上になろうと がんばらなくていいよ 君が 君以下に なるわけがないしさ… 君は君でいいんだよ そのままで いてほしいんだ

ひだまり

『陽だまり』 ”あなたと夕日が見たいな 海に落ちる 夕日…” ひとりごとみたいに 私は言った ”それだけでいいの?” からかうように あなたが言った そして笑った 風のない 陽だまりの中でー

スノー・ライト・セレナーデ

『スノー・ライト・セレナーデ』 嵐の中でも 吹雪の中でも 君についていこう その背中だけ 手探りで ずっと手を握ってて くれなくていいよ 時々振り向いて ほほえんでくれたら 君がそこにいること 信じられるから 足あとひとつない 雪の中 君についていこう …

うすあかり

『うすあかり』 くれていく空の谷間で 突然あなたが ぎゅっとした ”強くなれ!”ってつぶやいて もいちど あなたがぎゅっとした 私もそうっと背中を抱いて できる限りに ぎゅっとした 負けぬくらいに ぎゅっとした

夜明け前

『夜明け前』 あなたの名前を 呼んでも 呼んでも たりない気がした 少し不安げな声に 揺り起こされた気がした夜 何の根拠もないけれど 何の理由もないけれど ”大丈夫よ”ってつぶやいてみる その人が 眠れるように ただ 安らかに 眠れるように

イルミネーション

『イルミネーション』 いつからか あなたは とても おしゃべりになった まるで 想いのすべてを わかってほしい とでもいうように それはそれで いやじゃないけど ただ だまって 抱きしめることしか できなかった頃のあなたが なんだか 懐かしいよ 少し照れて…

新月

『新月』 とりとめない話 しながら 手でふいた ガラス窓のむこう 星達を ながめながら やっと 言い出す覚悟ができた ずっと ずっと 考えてたこと ずいぶんまえに あなた 聞いたよね みんなに背を向けられても 二人でいられるかって… その質問 今も有効? ”だ…

秋雨洞

『秋雨洞』 しずかに 雨の降る日には ゆっくり 夜が 更けていきます 悲しいことの あれこれは 降り敷く 紅葉に うずめたし 心に重い 事々は 軒のしずくに あずけたし 雨の音だけききながら そうっと 体を丸めましょ ちいさな 明かりが灯る部屋 夢の案内 とど…

しぐれ雨

『しぐれ雨』 ”つらいことや苦しいことって 一緒に来るって 思ったことない?” 雨を見上げて 突然に あなたが聞いた ”その分 きっと 楽しいことやうれしいことが 束になって やって来るんだよ そう思わない? だからね… 逃げちゃだめなんだ やりぬくんだ 自…

おやすみなさい

『おやすみなさい』 ”ねぇ 眠れなくて 闇を見つめ続ける 恐さって知ってる? 眠っても すく目が覚めて 途方にくれたことは?” 暗闇の中で聞く その声は いつもよりずっと 憂いを秘めて そのくせ なぜか自慢げで 私は ゆっくり体を向けて その体を そっと包ん…

風立ちぬ

ひるまずに 必ず 前に進むと 約束した あれは夏の初めのことー

赤い月

『赤い月』 約束の時が近づいている ずっと待ち焦がれながら 永久にこないかもしれないと 思っていた時が… ”逃げないこと ちゃんと 受け止めること” あなたのことばは そのままに 心にあるけど わたしだって あなたに 言っておきたいことがある ”覚えておい…

静かな港

ねぇ… 愛してるって… 言って…いい?

三日月の船に乗って

『三日月の船に乗って』 秋の風に 吹かれたら あなたに逢いに行こう その手を握り ぬくもり たしかめて ずっと できなかった話をしに 虫達のささやきが聞こえる夜 三日月の 船に乗って

降りやまぬ雨の中で

『降りやまぬ雨の中で』 止まっていた時計が 動き出した夜 あふれだす想いにまかせて 泣きながら わがままを言った あなたが 許しを請うくらい こまらせたくて ふりやまぬ雨の音と あなたの 腕の中で

無題

窓を開けよう ただ まっすぐに なるためにー

春の風景Ⅱ

『春の風景Ⅱ』 何を 急いでるの? 何を むきになってるの? 青空の下 木々の青葉がなびく日に うらうら春の 春の午後 きらきらと ふんわりと ねぇ 手をつなご

愛シイコト

『愛シイコト』 川の流れ さざめく声 暗い空から 星の降る夜 花びらの雨に隠れて そっと 指をからめた ”ずっと…” のみこんだ言葉に 応えるようにー

心が風邪をひいた日は(改題)

『心が風邪をひいた日は』 そこにいてね… ちゃんと いてね 夢の扉が ひらくまでー

夢に抱かれて

『夢に抱かれて』 髪をなでる手が ”忘れないで”と くり返す 半分まどろみながら その胸に 体預けて ”忘れないよ”と 私は言った 目覚めれば 朝の光のなか 握り合ってた手もなくて まぶたにこの手 押し当てて 笑った ゆだねてしまえば いいものを あれこれ思う…